中小企業の倒産が、コロナ禍を上回るペースで増えていることが分かった。

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東京商工リサーチによると、7月の中小企業の倒産件数は758件となり、16カ月連続で2022年同月を上回った。

中小企業の倒産件数増加率は前年同月比53.4%で、2020年にコロナ禍が始まって以降最大となった。

業種別ではサービス業が262件で最も多く、次いで建設業の148件だった。

新型コロナの5類移行後にインバウンド需要が回復したものの、原材料価格の高騰や人手不足などが業績への重しになっているとみられている。

また、中小企業を対象にした実質無利子・無担保「ゼロゼロ融資」の返済がピークを迎えており、今後も倒産件数が増える可能性もある。

企業の成長・変化が問われる時期に

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
中小企業の倒産が増えていることに関して、経営者である石倉さんは、どうご覧になりますか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
コロナ禍は緊急だったこともあり、今後の成長性などを一定無視して公的資金で援助していた。

だが、やはり延命措置にはなるものの、根本的には、成長性がない会社やお店からすると厳しい状況は変わらないので、今回のような倒産は起きる。

ある意味、コロナ禍の数年間でDX化したりビジネスモデルを変えるなど、今後に向けて手を打てた企業やお店は生き残るが、そうではなく、変化できなかった会社はそのまま厳しくなっているとも言えるのではないか。

堤 礼実 キャスター:
ただ、DXといっても難しい面もあるかと思いますが、いかがですか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
私も義理の父が個人でお店をやっているので、楽ではないのはわかるが、逆に小さいからこそ、時代に合わせて変化させやすいこともある。

そして、変化をするための期間は十分にあったので、変化できたところに対してのみ、今後も支援していくというのは仕方ない側面はある。

ただ、倒産という言葉に引っ張られすぎず、いくつかの問題に分けて考えるべき。特に法人としての会社と、そこで働く人の支援は別。

経営者自身のキャリアサポートも重要

堤 礼実 キャスター:
やはり、倒産後の問題としても働く人や、経営者のそれからのことも考えなければなりませんよね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
一つは従業員。今までの経験などを活かして、より給与がもらえる同業種に移っていくことが今はできるので、その移るまでの支援は失業保険などで可能だと思う。

たが、問題は経営者個人。抱えてしまっている負債はあると思いますし、すぐ次の職場に移れるかと言われると、従業員ほど簡単ではないはずです。

だからこそ、公的資金のうち一部の返済を免除したり、次の仕事に向けて、再教育などのサポートを積極的に行っていくインフラ整備は大事。

会社はなくなってしまうかもしれないが、それとは別に、経営者個人がまた次のキャリアを
築いていけるような社会をどう作るか。

それができれば、万が一失敗したときのリスクも少ないので、より挑戦してみる人が増えることにも繋がるのではないか。

堤 礼実 キャスター:
物価高や円安、さらには賃上げにも向き合う必要があり、そこで立ちゆかなくなるケースもある一方で、新しく生まれる企業もあるわけですから、それぞれが時代に合わせた経営が求められるようです。

(「Live News α」8月21日放送分より)

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