上皇后・美智子さまは、8月7日、東京・板橋区の板橋区立美術館を訪れ、絵本の原画展をご覧になりました。

「2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」(6/24~8/13)
「2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」(6/24~8/13)
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原画展では、今年3月にイタリアのボローニャで行われた国際的な絵本のイラストコンクールの入選作品などが、展示されています。

「いつもとちがった日」(作:さぶ さちえ)
「いつもとちがった日」(作:さぶ さちえ)

上皇后さまは、切り絵の作品を鑑賞した際、それぞれ1枚の紙をカッターナイフで切り抜いているという説明に「細かい大変なお仕事ね」と驚かれました。

「まいにちの、すてきないろいろ」(作:寺澤智恵子)
「まいにちの、すてきないろいろ」(作:寺澤智恵子)
原画を木彫りにした「触察ボード」

また、視覚障害者が触って鑑賞できるように原画を木彫りにした「触察ボード」には、実際に触れながら「よい試みですね」と話されたといいます。

児童文学に造詣が深い上皇后さま

上皇后さまは、17年前にも「イタリア・ボローニャ原画展」をご覧になるなど、この美術館で行われた絵本の展示に度々、足を運んで来られました。

2006年8月「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」をご覧になる上皇后さま
2006年8月「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」をご覧になる上皇后さま

児童文学に造詣の深い美智子さま。
お子さまの初めての山登りについて綴られた文章が1991年に「はじめての やまのぼり」という絵本になりました。

上皇后さまがお話を考えた 「はじめての やまのぼり」(1991年出版)
上皇后さまがお話を考えた 「はじめての やまのぼり」(1991年出版)

また、詩人 まど・みちおさんの子ども向けの詩を英語に翻訳するなど、長年、児童書に携わってこられました。

上皇后さまが英訳した 「THE ANIMALS」(1992年出版)
上皇后さまが英訳した 「THE ANIMALS」(1992年出版)

平成10(1998)年には、国際児童図書評議会「IBBY(イビー)」の世界大会で、ビデオによる基調講演を英語で行い、子どもにとっての読書の大切さについて話されました。

《上皇后さまのビデオ基調講演》
So that children have firm roots within themselves ;
So that children have strong wings of joy and of imagination ;
So that children know love, accepting that at times love calls for pain ;
So that children see and face the challenge of life's complexities, fully taking on the life given to each, and finally, upon this earth which is our common home, become, one day, true instruments of peace.

子供達が、自分の中に、しっかりとした根を持つために
子供達が、喜びと想像の強い翼を持つために
子供達が、痛みを伴う愛を知るために
そして、子供達が人生の複雑さに耐え、それぞれに与えられた人生を受け入れて生き、やがて一人一人、私共全てのふるさとであるこの地球で、平和の道具となっていくために。

1998年 国際児童図書評議会(IBBY)ニューデリー大会 基調講演
1998年 国際児童図書評議会(IBBY)ニューデリー大会 基調講演

また平成31(2019)年には、長年の児童図書への貢献が認められ、ドイツのミュンヘン国際児童図書館の名誉会員に就任されました。

ミュンヘン国際児童図書館 名誉会員証
ミュンヘン国際児童図書館 名誉会員証

5年ぶりに訪れた美術館で、絵本の世界を堪能された上皇后さま。
コロナ禍で社会の動きが止まっていたことを心配し、「世の中が戻って良かった」と話されたということです。

(「皇室ご一家」8月20日放送)