福島テレビに、驚きの情報が寄せられた。なんと、スイカを切ったら種からモヤシのようなものが生えていたという。スイカに精通する人でも「聞いたことがない」という稀な現象。どうやら記録的な暑さが関係しているようだ。
視聴者からの情報
福島県伊達市にお住いの佐藤京子さんから「知り合いのモモ農家・松浦さんから頂いたスイカを食べようと切ったところ、種から発芽していてビックリ!初めての体験です」との情報をいただいた。実物が届き、スタッフも驚いた…本当に種からモヤシが!

モモ農家が育てたスイカ
このスイカを栽培したのは福島県伊達市梁川町の松浦農園。モモ農家だがサービスでスイカをプレゼントしようと2022年から栽培を始めたという。どんな環境で育てたのか聞いてみると「ハウスの中の砂地で育てている。品種はピノガール」という回答が。

果物店でも見たことがない
スイカの実の中で発芽することはよくある事なのだろうか?福島県で数多くの果物を扱う青木商店に話を聞いた。会長も見たことがないということで「滅多に発生することはない非常に珍しいケースなのでは」とのことだった。

スイカの名産地でも知らない
さらに取材をすすめ、スイカの名産地・山形県尾花沢市のJAみちのく村山東部すいか選果場にも話を聞いた。すると「聞いたことがない。ピノガールを多く栽培している熊本に聞いてみては?」とのアドバイスをいただいた。

ピノガールを栽培する熊本県でも…
そこで、ピノガールという品種を栽培する熊本県・上益城農協を取材。「聞いたことがありません。基本、果肉の中で発芽することはない」という回答を得た。

発芽には適温・水・空気
スイカを扱う人たちからは、揃って「聞いたことがない」という回答。植物学的にはどうなのか?甲南大学の田中修特別客員教授によると、「適温」「水」「空気」の3つが揃わないと発芽しないという。果肉の中の種はヌルヌルしていて空気に触れることはできない。そして果肉そのものにも発芽を抑制する成分があるので、そもそも発芽はしないものだそう。

スイカの芽は食べない方がよい
ちなみに“モヤシ状のもの”は食べられるのか田中特別客員教授に伺うと「断言はできない。植物が育つ一番最初の段階が発芽。鳥などに食べられないように毒を持っていることも多い」ということで芽は食べない方がいいようだ。

稀だがウリ科ではあること
スイカの種を販売する小林種苗にも話を聞くと、これまでと違った驚きの回答が得られた。実はレアケースではあるが、果肉の中で発芽することもあるという。これを「果内発芽」と言い、スイカ・メロン・カボチャなどのウリ科で起きるそう。

要因は高温によるストレス
この果内発芽の要因はストレス。一般的には高温の影響と言われていると小林種苗の担当者は言う。2023年、このスイカが栽培された福島県伊達市梁川町では40℃を記録するなど例年にない暑さとなった。

サカタのタネにも話を聞いたところ「今年の暑さが影響している。果実の中で発芽条件に近い25~30℃の温度になったのでは」との見解をいただいた。

ちなみに果肉はおいしかったという、世にも奇妙なスイカの話。厳しい暑さが続く今年、あなたもスイカを切ったら”モヤシ”という不思議体験ができるかもしれない。
(福島テレビ)