夏休みも中盤にさしかかっている。
旅行を計画している人も多いかもしれないが、その旅行の楽しみと言えば、宿だ。
宿泊したホテルや旅館は、旅の思い出の大切な1ページとなるはず。
そこで今回、想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」では、ホテル・旅館に注目。
「女将劇場」「ピラミッド旅館」「特産品お試し放題」など、夏の思い出作りにもなりそうな個性的すぎるホテル・旅館を紹介していく。
まずは、おもてなしに情熱を注ぎすぎる名物女将がいるホテルから。
女将が命がけのびしょぬれパフォーマンス
山口市にある創業87年のホテル「西の雅 常盤(にしのみやび ときわ)」。
このホテルの自慢は、800年以上前からこの地で湧き続けているという「湯田(ゆだ)温泉」だ。

6つのお風呂が楽しめるだけでなく、客室露天風呂もあり、たとえば最上階にある客室「浮舟」は、1泊2万3100円から宿泊できる。

そんな「西の雅 常盤」の女将が、58年間、客一組一組に毎日欠かさずあいさつを行う、宮川高美さん(78)。
包み込んでくれるような優しい笑顔が特徴な宮川さんは、“おもてなしに情熱を注ぎすぎる”名物女将なのだという。

「(午後)8時45分から『女将劇場』をします。一生懸命、命をかけてやります。どうぞ見にきてください」(女将・宮川高美さん)
宮川さんが「命をかけて行う」と言う「女将劇場」とはどんなものなのだろうか。
実際にそのショーを見てみると、女将自ら太鼓を連打するところからスタート。

さらに、女将が水芸を披露し、全身びしょぬれになっていく。
その後も78歳の女将がスタッフとともに約1時間、自ら考えたオリジナル演目をノンストップで全力パフォーマンスしてみせた。
確かに命がけだ。

なぜこんなショーを行うようになったのか。
女将・宮川さんによると今から58年前、20歳という若さで女将になった時、ホテルは経営難だったという。
どうにかして脱却できないかと考えたのが、幼い頃からたしなんでいた踊りや琴などの芸を披露することだった。
するといつしか名物女将として口コミが広まり、一目見たいと客が増えるようになった。
この日「女将劇場」を見た宿泊客も「みんなを楽しませようとする気持ちがすごい」「日本一の名物女将です」と感動しきりだった。
宮川さんが考えた芸は、現在全部で175個。
今後も芸を増やしていき200に到達することが目標だという。
続いては“癒やしの空間作り”に情熱を注ぎすぎるオーナーがいる温泉旅館。
ピラミッド×旅館=癒やし空間
栃木・那須塩原市にある温泉旅館「癒しの殿堂 ピラミッド元氣温泉」。
世界遺産に登録されている“クフ王のピラミッド”を、10分の1サイズで忠実に再現した宿だ。

本館のピラミッドの他に2つの別館があり、部屋は全部で36室。
ナイル館にある部屋の窓からはピラミッドを眺めることもでき、1泊素泊まり5100円で非日常的な体験ができる。

総工費、約4億円もかけてこのピラミッド旅館を作ったのは、オーナーで会長の伊藤雄次郎さん(92)。
伊藤さんは有名な発明家で、発明品を次々と生み出し特許も取得し、科学技術庁長官賞などさまざまな賞を受賞している。

さらに作家「ひびこうじ」として小説を出版するなど、多方面で活躍するスゴい人なのだ。
そこで伊藤さんに、なぜ個性的なピラミッドの旅館を作ったのか聞いてみると「ピラミッドを利用したエネルギーというのは脳波が落ち着く波動になっていく。だからイライラしていると冷静になるっていうかな」とのこと。

そんなピラミッドパワーを利用した伊藤さんこだわりの“癒やし空間”が、瞑想室。
部屋の中央にそびえる樹齢500年以上のケヤキの木の根っこと、その中央にある水晶に気のエネルギーが集まっているため、この部屋で瞑想すると心身ともにリラックスできるのだそう。
非日常的な“癒やし空間”を体験してみたい方は、訪れてみてはいかがだろうか。
続いては、“特産品愛が強すぎるサービス”のある宿。
宿泊客の“おメガネ”にかなう宿
福井・鯖江市にあるのは、10年以上空き家となっていた古民家を改装した宿泊施設。
1日1組限定の1棟貸しで、1泊6万6000円のプレミアムな宿だ。

この宿では地元のある特産品を思う存分楽しめるというが、古民家に入り中へ進むと、その壁にはメガネ、メガネ、メガネ…。
この宿のユニークなサービスは「メガネのかけ放題」。
鯖江市がメガネの生産量、全国1位を誇ることから生まれたサービスだ。

宿の名前もズバリ「SABAE MEGANE HOUSE(さばえ メガネ ハウス)」。
シンプルなフレームのメガネから、レンズが4つ付いている変わり種メガネまで特産品のメガネが100種類以上置いてあり、気に入ったものがあれば、売っているお店を教えてもらって購入することもできるという。

「鯖江のメガネを作るには、200ぐらい工程があると言われている。匠の域にまで高まった精密かつとても美しいメガネをかけてもらうことで、鯖江のメガネを身近に感じて欲しい」(オーナー・海渡(かいど)由紀子さん)
気になる方はこの夏、鯖江のメガネハウスに泊まり、自分に合うオンリーワンなメガネを探してみては。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年8月15日放送)