15日朝、台風7号が最初に上陸した和歌山県。
和歌山市内では午前6時頃、建物の外壁の下敷きになって倒れている60歳の男性が発見された。台風により外壁が崩れたとみられ、男性は意識不明の重体となっている。この男性を含め、和歌山県内ではこれまでにあわせて5人のけが人が確認されている。

15日午前11時頃の雑賀崎。横殴りの雨が降り、強風で立ってるのもやっと…。
15日午前11時頃の雑賀崎。横殴りの雨が降り、強風で立ってるのもやっと…。
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台風7号は、その後も和歌山県内を縦断。取材班が午前11時頃、和歌山市内にある港町・雑賀崎を訪れると、現地では横殴りの雨が降り、立っているのもやっとの強風が吹いていた。海は荒れ、ロープでつながれている船はかなり揺れていた。

食料を買うために外出した住民
食料を買うために外出した住民

取材中に出会った住民は、食料を買うためにこれから外出しなければならないといい、雨と強風の中を走り去った。

住民が恐れた「次の台風」が直撃

雑賀崎地区は、海沿いの斜面に住宅が密集するその美しい景色から「日本のアマルフィ」とも呼ばれる。この「日本のアマルフィ」は、これまでにも度々、台風の直撃を受けていた。

斜面の上に建つ建物の一部が別の住宅の屋根に直撃
斜面の上に建つ建物の一部が別の住宅の屋根に直撃

2018年9月に近畿地方に大きな被害をもたらした台風21号が雑賀崎地区を襲った際には、斜面の上に建つ建物の一部が風に飛ばされ崩落し、下にある別の住宅の屋根などに直撃した。

この時に崩壊した建物は、約50年間放置されていたという“廃旅館”だった。長年撤去が行われず、問題になっていた。

当時の取材では、廃旅館の一部が吹き飛ぶ様子を撮影した近隣住民が「倒壊した屋根は飛んでくるし、もう色んなものが飛んでくるような状況で、次の台風でまた危ないと思う」と話していた。

和歌山市「台風に備え対策」

事態を重く見た和歌山市は2023年、法律に基づき強制撤去に着手する手続きを実行。6月に解体・撤去作業が始まったが、まだ作業の半ばで住民が恐れていた次の台風が襲ってきた。

解体途中の廃旅館にあったショベルカー。はがれた車体部分が吹き飛びそうになっていた。
解体途中の廃旅館にあったショベルカー。はがれた車体部分が吹き飛びそうになっていた。

解体途中の廃旅館に車で向かってみると、強い風と雨が打ち付けていた。現場に張られていたロープは揺れ、ショベルカーの車体部分がはがれ、今にも吹き飛びそうになっていた。また、強風にあおられ、カーブミラーも大きく揺れていた。

旅館の一部に使われていたとみられる壁の素材にはネットがかけられていた
旅館の一部に使われていたとみられる壁の素材にはネットがかけられていた

周囲の安全を確認した上で番組ディレクターが廃旅館に近付くと、土がむき出しになっている部分や、旅館の一部に使われていたとみられる壁の素材にネットがかぶせられている様子、ショベルカーを使って物を押さえているような状況も見られた。

解体現場の足場はむき出しだった
解体現場の足場はむき出しだった

一方、下からの映像で廃旅館を確認すると、足場がむき出しになっていた。

和歌山市に確認すると、台風に備え資材などが飛ばないよう対策を施したといい、これまでにこの廃旅館をめぐる被害は出ていないという。

「南寄りの風」で緊張続く

前回のような事態は起きておらず、“ホッと一息”かと思いきや、住民は“これからが怖い”と口にする。近隣住民は「怖いですよ。台風が去った後の南風がすごいですね」と話す。

廃旅館は南寄りの風をもろに受ける場所に立地
廃旅館は南寄りの風をもろに受ける場所に立地

台風が通り過ぎた後、和歌山市付近には南寄りの風が吹いていて、廃旅館は南寄りの風をもろに受ける場所にあるためだ。
「日本のアマルフィ」は、台風が過ぎ去った後もしばらく緊張が続く。

(「イット!」8月15日放送より)

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