次々と明らかになる、ビッグモーターの不正疑惑。8月9日、FNNが入手したメールで新たな疑惑が判明しました。

それは、兼重宏行前社長から5500人余りの社員に向けて送られた1通のメール。

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「この度、当社では自動車修理の保険金請求に対して、一部不正行為と認められる事案が発見されました」

メールが送られた日付は、今年の1月です。
「天地神明に誓って知らなかった」と兼重前社長が発言したのは、7月の会見。その半年前の1月には、不正を把握していたということでしょうか?

さらに、中古車検索サイト「カーセンサー」が、ビッグモーターで扱っている車の情報の掲載を9日から停止。“不正疑惑”の波紋が広がり続けています。

次々と明らかになるビッグモーターの問題点

自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏が取材したケースでは、本来自分で選べるはずのローンの支払い回数を、「金利は9.9%、120回ローンしか選べない」と説明。

例えば、販売額500万円の車を購入した場合、総支払額が約780万円になってしまうというのです。

これについて、めざまし8がビッグモーター側に事実確認を求めると、「具体的な情報を把握した事案については、確認を進め、今後適切に対応してまいります」と回答が返ってきました。

顧客だけではなく、社員に対する“パワハラ疑惑”なども明らかになっています。

新入社員の女性が、上司のセクハラを告発したところ、「歩き方が悪い」と理不尽な言いがかりをつけられ、従わずにいたところ別の県の店舗への移動が命じられました。
女性はその後、自主退職しています。

営業ノルマが達成できていない社員に対しては、電話の受話器を輪ゴムと養生テープで顔に固定し、とにかく電話を掛けることを強要。

社員のプライベートに踏み入るような事柄が、経営計画書に記載
社員のプライベートに踏み入るような事柄が、経営計画書に記載

さらに、「社内恋愛は2回まで、3回目は転職を勧告する」「結婚式に上司や同僚を招待した場合は、交通費を全額負担する」といった、社員のプライベートにまで踏み入るような事柄が、経営計画書に記載されていました。

この記載については、ビッグモーター側は「社内恋愛や結婚式に関する記載が経営計画書にあることは事実。今後見直しを検討してまいります」と答えています。

「辞めさせ屋」兼重前副社長とは?ビッグモーターの今後

ビッグモーターの問題の中で、中心人物として指摘されているのが、兼重宏一前副社長です。

兼重宏行 前社長の息子・宏一 前副社長
兼重宏行 前社長の息子・宏一 前副社長

兼重宏一前副社長は、兼重宏行前社長の息子で、2010年にビッグモーターの資産管理会社である「ビッグアセット」の取締役に就任。2021年にビッグモーターに入社し、社長室次長になりました。会見に出席せず「反省の言葉」が読み上げられ、退任が発表されて以降、姿を見せていません。

兼重前副社長が送ったとみられるメッセージには、「教育」「死刑」といった言葉が繰り返し並び、さらに、「クソボケ」「店長は解任します」といった言葉を使い社員を叱責していたことも分かっています。

自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏が、現役社員や元社員、複数名に取材したところ、兼重前副社長は、社内では別名「辞めさせ屋」と呼ばれており、環境整備点検に行って、次に辞めさせる人を探していたといいます。

そのため、社員は上司から環境整備点検で「なるべく副社長に近づくな、目立つ行動をするな」と指導されていました。

自動車生活ジャーナリスト・加藤 久美子 氏
自動車生活ジャーナリスト・加藤 久美子 氏

自動車生活ジャーナリスト 加藤 久美子 氏:
これまでのトップの体制を、大きく抜本的に見直さないといけないと思います。兼重前副社長はお辞めになりましたけども、まだ前副社長の息のかかったトップの方々がいらっしゃるので。
また被害者の方々に誠意を持って、正しい調査をして。被害を受けている方はいっぱいいるので、その辺りをきちんとやっていかなくてはいけないのかなと。

兼重前副社長についてビッグモーターは、「すでに退任しているためコメントは差し控える」としています。

今後について、「調査報告書の提言内容を踏まえ、現場の声を拾い上げる仕組みの構築と再発防止に向け真摯に対応してまいります」とコメントしているビッグモーター。

しかし、実業家の大空幸星氏は、「これまでの体制は変わらない」と指摘します。

大空 幸星 氏
大空 幸星 氏

大空 幸星 氏:
(このような体制を)変えようとしているのでしょうけど、変わらないと思います。
結局こういう不正とかパワハラは、人権弾圧の極みですよね。ブラック企業の最たる例ですよ。だけれども重い事実として、この企業は急成長してきたわけです。多様性や働き方とか言われている中で、完全に逆行している会社が“成長してきてしまった”。その例なんです。これは社会にとって不都合な真実なんだと。
そこから何を学ぶかというと、同じ成長でもこうしたこと事をやって生まれた成長に価値はないのだと声を大にして言っていかないと、こういう企業はまた生まれてしまうし、ビッグモーターのようにやっていてもいいじゃないかと、成長第一主義みたいないそういうことになるのかなと。

(めざまし8 8月10日放送)