東京・上野の国立科学博物館が7日から始めたクラウドファンディングは、1日で目標金額1億円を達成した。

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国立科学博物館が始めた目標1億円のクラウドファンディングは、午後5時20分時点で5051人が参加し、1億円を達成した。

国立科学博物館はコロナ禍で入館者が減り、収入が減ったことに加え、建築中の収蔵庫に使う資材や、高熱費の高騰で資金繰りが悪化しているとして、7日朝から寄付を呼び掛けた。

博物館は支援者に対して40種類以上の返礼を用意しているが、普段は入れない収蔵庫に入るバックヤードツアー(寄付額5万円)は全て完売したという。

国立科学博物館は11月まで募集を続け、集めた資金は収蔵庫の建築や高熱費に充てるという。

民主的でファンづくりにも効果大

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
科学博物館のクラウドファンディング、わずか1日で目標の1億円をクリアして、いま、2億円を突破しました。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
2億円という金額は本当にすごい金額で、大変喜ばしいことだと思います。
科学博物館を応援したい、支えたいという多くの人の思いが集まったということかもしれない。

東京・上野の科学博物館で展示されている動植物や化石などの標本は、500万点以上の収集・保管品のうちの1%未満。

展示していない大部分の標本などは、茨城県つくば市の収蔵庫で保管していますが、維持管理には当然、お金がかかります。

物価高の影響により、この2年で光熱費は2倍になり、入場料が収入の大きな柱になっているが、コロナ禍により5分の1程度に減少しています。

博物館を維持する力になり、その未来を支える仕組みとして相性がいいのがクラウドファンディングなんです。

堤 礼実 キャスター:
なぜ、相性がいいと言えるのでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
クラウドファンディングの普及のきっかけには、アメリカではリーマンショック、日本では東日本大震災と言われています。

誰かが困っていることに対して、多くの人が呼びかけに応じて、みんなで助け合う。そんな民主的な仕組みです。

私自身も、スタートアップを応援するクラウドファンディングの業界に携わって6年目になりますが、ファンコミュニティを作る意味でも非常に効果的なプラットフォームです。

今の応援が将来の研究者への投資に

堤 礼実 キャスター:
確かに、今回のクラウドファンディングを通じて、科学博物館に行ってみたいと思った方も多いかもしれませんね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
資金によって、事業そのものを直接的にサポートするだけでなく、応援したことによって継続的に支援を続ける「ファン」になるといった行動もよく見られます。  

今回の「応援」に参加した方には返礼品として、オリジナルのグッズやバックヤードツアーへの参加、さらには標本製作の体験、古代人の人骨に触れる実習などが用意されています。

この心おどる返礼品に触れた子どもたちの中から、科学の発展を担う研究者が出てきたら素敵ですよね。

クラウドファンディングは今を支える応援とともに、未来への投資という意味も大きいのです。

堤 礼実 キャスター:
今回のクラウドファンディングをきっかけに、私たち自身もこういった施設に、一層、関心を持つきっかけになります。

ただ、貴重な科学遺産をたくさん持つ場所だからこそ、未来につなげていくために一時的ではなく、継続的な運営を優先的に行っていく必要があるのではないでしょうか。

(「Live News α」8月7日放送分より)

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