4日、藤井七冠が王座への挑戦権をかけて、豊島九段との対局を行う。

藤井七冠の「王座」挑戦について、元女流棋士の竹俣紅キャスターがお伝えする。
全8冠制覇へ向けて最大の鬼門
前人未到、史上初のタイトル八冠全制覇を目指している藤井七冠だが、残すタイトルは王座だけだ。その王座への挑戦権をかけて、4日に豊島九段との対局が行われる。

圧倒的な強さで快進撃を続ける藤井七段だが、王座戦だけは少し違っていた。
過去5年間の藤井七冠の王座戦を振り返って見ると、王座戦では挑戦者にすらなれたことがない。
先日、村田六段にほとんど負けというほど追い詰められてしまったりと、明確な理由は不明だが、王座戦と相性が悪いのかと思わせる。
そして、「どちらが先手となるのか」というのもポイントだ。

藤井七冠は、相手がトップ棋士であっても、直近2年間の先手での勝率は9割以上と驚異的な勝率を誇っている。2023年度では勝率100%という成績だ。
対局前の“振り駒”に注目

4日に戦う豊島九段との戦績。藤井七冠が先手だと13勝3敗となっているが、一方、後手だと8勝8敗と、五分五分。
つまり、豊島九段としては何としても先手になりたいと思われる。

先手か後手かは、将棋の駒を振る「振り駒」で決められる。対局の横で記録をする記録係の人が駒を振って、表と裏の数を見て、先手がどちらかを決める流れとなっている。
振り駒には5枚の「歩」を駒として使うが、「歩」の枚数が多ければ格上の上座の先手。「と」の枚数が多ければ、格下の下座の先手となる。

森内九段は「歩」が出やすいと将棋界で言われていることから、自宅で100回ほど振って確かめたそうだが、大差はなかったそうだ。
さらに、森内九段によると、将棋連盟でも何度も同じ実験をしているそうだが、ほぼ均等で出ることから、現在でも先手・後手を振り駒で決めているとのことだ。

藤井七冠が4日に豊島九段に勝利すれば、王座戦への挑戦権を獲得する。
ただ、王座戦の前の8月15~16日に王位戦第4局がある。ここで、佐々木七段に勝利すれば、王位防衛に成功する。
その後、9月~10月に行われるとされている王座戦で、永瀬王座との5番勝負で3勝すれば、前人未到、史上初のタイトル八冠全制覇となる。
タイトル八冠全制覇のためには、明日の対局は絶対に負けられない戦いとなるが、対局前の振り駒にも注目だ。
(「イット!」 8月3日放送より)