中古車販売大手「ビッグモーター」で、全国各地の店舗前の街路樹が不自然に枯れるなどした問題で、福岡県北九州市内にある2つの店舗前で土壌調査が行われた。テレビ西日本がこの店舗に勤務していた元従業員に取材をすると、元従業員は「除草剤を毎月のようにまいていた」と話した。
北九州市の2店舗 街路樹に除草剤など使用か
富崎靖啓記者：
街路樹が枯れた北九州市小倉北区の店舗前で、土壌採取の用具を携えて担当者が調査に訪れています
北九州市は、小倉西港店と小倉南店の2カ所で、店舗前の街路樹に農薬や除草剤が使われた疑いがあるとして土壌調査を開始した。
北九州市の担当者：
引き続き、過去の経緯は調べていくが、ツツジがなくなっているのが確認されている
土壌調査の結果が出るまで1カ月かかる見通しだが、小倉南店で数年前まで働いていた元従業員が除草剤をまいたことを認める証言をした。
掃除箇所に「草取り」「剪定」
ーー除草剤をまいたことは？
ビッグモーター小倉南店に勤務していた元従業員：
あります。小倉南店なんですけど、やはり草が伸びる時期ですよね。春先から秋ごろにかけては、やっぱり毎月のようにまいていましたよね
10年前に撮影された小倉南店の画像では、店の前の公道にはツツジやイチョウなどの街路樹が生い茂っていることが確認できる。
しかし、年々枯れていき、2021年にはほぼなくなってしまっていることがわかる。
元従業員は「手段問わず、草がなくなりさえすればいいという感覚で除草剤をまいた」と話している。
ビッグモーター小倉南店に勤務していた元従業員：
店舗内の各部門、メンバーごとに掃除箇所、割り振りがされるんですね。草取りと剪定（せんてい）というところの担当があった
ーー除草作業はどの時間にしていた？
ビッグモーター小倉南店に勤務していた元従業員：
店舗の営業時間が終わった夜の8時以降とかにまいていました。サービス残業は当たり前なんですよね。日付が変わるぐらいまで、やっぱりやっていましたね。除草作業とかにかける時間がないっていうことで、これは除草剤を使って「あんまり生えてこないようにした方が、われわれの手が空けられるんじゃなかろうか」っていう考えですよね
時間に追われる中で、行き着いたという除草剤の使用。北九州市内の2店舗の店長は、市の聞き取りに対し「赴任時には既にこの状態だった。過去の経緯はわからない」と話しているという。
なぜ、こんな驚きの行為が行われたのか―。
「環境整備」という名の大名行列
「お疲れさまです！」「お疲れさまです！」
2021年にビッグモーターの西日本エリアの店舗で撮影された映像には、大きなあいさつで出迎えられるビッグモーターの経営幹部たちが映っていた。
その中心にいたのが、兼重宏行前社長の長男・宏一前副社長(35)だ。
次期社長と目されていた宏一前副社長が店舗を訪れた目的は、清掃状況などをくまなくチェックする「環境整備点検」。この環境整備点検で経営幹部からの評価が低いと“降格処分”などを受けるという。
ビッグモーター小倉南店に勤務していた元従業員：
環境整備という名の大名行列ですよね、もう。「草一本残すな」と「あったらダメだ」と言われて、わけのわからないアラを探してグダグダとくだを巻くわけですよ
息子を「次期社長に」と宣言 まわりもチヤホヤ
2012年、ビッグモーターに入社し、わずか3年で経営幹部になった宏一前副社長。元従業員によると、父の兼重前社長が「自分の息子に会社を継がせたい」と公言したことをきっかけに宏一前副社長によるパワハラが横行するようになったという。
ビッグモーター小倉南店に勤務していた元従業員：
創業者である先代の社長が、カリスマ的存在だったっていうのはあるので、そこの七光りみたいなもんですよ。そこの虎の威を借る狐が息子であり、彼を「次期社長にしたいと思っている」って宣言しちゃったもんだから、やっぱりそこについていく取り巻きたちがチヤホヤするわけですよ。それに味をしめたのか、高圧的な人事異動だったりとかですね、店長に対するパワハラ的な発言だったりとか、そういったのが増えていった
ビッグモーター小倉南店に勤務していた元従業員：
現場の社員からしたら現場に入ったこともない。お客さんに触れたこともなければ、店舗のスタッフともまともに話したこともない人間に何がわかるんだっていう目で見ていましたよね
（テレビ西日本）
