藤井聡太七冠が将棋界を席巻しているが、その影響は他の分野にも波及している。これまでの効果を調べ“八冠獲得”で予想される経済効果を専門家に聞いた。

2年経った今でも大人気の「ぴよりん」 全国各地から販売求める声が

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2021年6月に名古屋で行われた王位戦第1局で話題になったのが「ぴよりん」だ。藤井二冠(当時)が1日目の午後のおやつに「ぴよりんアイス」を頼んだところ、公式サイトのサーバーが一時ダウンするほどの大反響に。

名古屋コーチンの卵を使ったひよこ型スイーツの本家「ぴよりん」は、連日完売の人気となった。

約2年が経った7月6日、名古屋駅コンコースの「ぴよりんshop」に行ってみると、今でも開店前から行列ができていた。

女性客:
千葉から。藤井さんが食べたおやつですよね

男性客:
藤井聡太くんが食べて有名になったというのは、よくエピソードで言っていますよね。王座を取って八冠取ってほしいと思っています

JR東海フードサービスの担当者:
やっぱり(効果は)相当大きかったなと。認知がちょっとずつ全国に広がってきていて、皆さんの熱量を感じることがあって、(人気は)はかりきれないなって

七冠獲得で人気はさらに上がっているという。

2021年に話題となって以降、「ぴよりん」は藤井七冠の活躍で知名度が全国区になったが、要冷蔵で賞味期限が買った当日ということから、地元の人以外が食べられる機会は限られていた。

そこで全国のファンからの声を受け、2021年から静岡・東京・大阪などで期間限定の出張販売を始めたところ、売り切れ続出。担当者も「あっという間に売れてしまいます。もう大フィーバーみたいな感じ」と喜んでいる。

各地から販売を求める声は七冠を獲得した今、さらに増えているという。

また、将棋をモチーフにした「将棋の日ぴよりん」や、スポーツチームとコラボした「グランパスくんぴよりん」など、新商品も続々登場している。ここ2年でそのペースはグンと早くなったということで、“藤井効果”は絶大のようだ。

JR東海フードサービスの担当者:
八冠を取ったら、何か話題性があるものを皆さんに提供できたら喜んでいただけるので、何かそういったことができたらいいなと思っています

羽生九段と藤井七冠の直筆サイン!「アマチュア正式免状」が人気に

七冠になったことで、新たな“藤井効果”も生まれている。今、全国の将棋ファンが注目しているのが、日本将棋連盟が発行する「アマチュア正式免状」だ。

日本将棋連盟免状課の森英樹さん:
3カ月ほどのお時間をいただいております。すごい反響ですね

連盟も驚くほどの人気だ。

アマチュア棋士の段位を公認するもので、免状には6月に会長に就任した羽生善治九段と、竜王・名人である藤井七冠の名前が直筆で書かれている。

SNSでは「こりゃすげ~よ」「オールスターすぎて欲しい」「早く初段にならなきゃ」といった声が挙がり、大きな話題となっている。

日本将棋連盟免状課の森英樹さん:
これだけ関心を持ってもらうということは非常に嬉しいことです。これを機会に将棋を覚えてみようかという方ももちろんいらっしゃいますし、いったん離れていたんですけどまたちょっと復活してみようかなという方が結構いらっしゃいますね

申請には段位の取得が必要だ。新聞・雑誌などの認定問題を解いたり、最近は連盟公認のオンライン対局での昇段も人気だという。

また、免状の発行には料金がかかる。初段は3万3000円で、段位とともに金額も上がり、六段の場合は27万5000円に。値は張るが、6月に“藤井名人”が誕生して以降、申請が急増し、通常の5倍にもなっているという。

森さんは“藤井効果”で将棋ファンの拡大を実感していると話す。

日本将棋連盟免状課の森英樹さん:
これを機会により一層将棋に愛着を持っていただいて、長く続けていただければいいなと思っています

関西大学の宮本名誉教授は、藤井七冠が八冠を達成した時の経済効果は35億円以上としている。

有名な歌手が2~3万人の客を入れてドームコンサートを行った場合で約20億円、根尾昂選手がドラゴンズに入団した時の経済効果が約24億円だということで、「個人プレイヤーとしては空前絶後だ」とコメントしている。

2023年7月7日放送
(東海テレビ)

東海テレビ
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