会社の名前を隠すことで、企業のやっていることや人材のやりたいことが見えてくるマッチングイベントが行われた。

ウォンテッドリー主催の就活イベント
ウォンテッドリー主催の就活イベント
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2日、ビジネス向けのSNSを運営するウォンテッドリーが、就活イベント「#キャリアビジョン直結型インターン」を開催した。その最大の特徴は―

企業名はなく「やりたいこと」のみ掲示
企業名はなく「やりたいこと」のみ掲示

通常見られる“企業名”が、一切見当たらない。

ブースに掲示されているのは「企業名」ではなく、「企業が今後やりたいこと」のみだった。

参加した学生は、イベント前半では企業名がわからない状態で、それぞれの担当者とやりとりを行った。そして、イベント後編では企業名を明かして再度やりとりをした。

参加した学生:
大企業にインターンの応募をするのが続いていて、これでは企業研究が進まないと感じていたので、フェアに見られて、企業をよく知れる機会になった。

ウォンテッドリーによると、「企業名」を重視する学生は、就活で約11%に留まる一方、合同説明会などでは、75%以上にのぼるという。

そのため、あえて企業名を隠すことで、学生が自分の「やりたいこと」と向き合う機会の創出に繋げて欲しいとしている。

参加した企業側にもメリット
参加した企業側にもメリット

イベントに参加した企業も、さまざまなメリットを感じていた。

ENECHANGE 人事室・遠藤昌紀さん:
世の中の学生に知られている会社かというと、正直、残念ながらそこまでではない。名前を出してなければ、ある意味フラットになるので、コミュニケーションのしやすさはある。

土屋鞄製造所 人事本部 人材開発課・西島悠蔵課長:
企業名ではないところで、質問されることが多かったと感じることができた。いわゆる企業名だけではわからないところに興味・関心を持ってくれたのは、すごく手応えがあった。

学生と企業の「やりたいこと」をつなぐ、新たな就活イベントだ。
主催者は次のように語った。

ウォンテッドリーコーポレート・奈良英史さん:
スキルのマッチングは、入社後に解消できたりする部分もあるが、何のために働くのか、共感できるのかは、入社後にすりあわせるのは難しい。企業名ではなく、企業のやりたいことを見て、自分のやりたいことに出会えるような場をつくれればと思い、イベントを行った。

企業名を隠し良い会社と出会うきっかけに

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
人材の採用に長く携わってきた石倉さんは、今回の試み、どうご覧になりますか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
企業名を隠した採用イベント。これは面白い取り組みだと思う。やはり、学生のうちに知れる会社名には限界があるし、どうしても偏ってしまう。

就活を経験した人で、たまたま参加したイベントで、面白い会社に出会ったという経験をしたことがある人も少なくないはず。また、名の知れた会社にアプローチしながら、その会社と関連がある会社などを受けていく中で、偶然自分に合う会社を見つける人もいる。

ただ、こうした企業との良い出会いを実現するには、とにかくたくさんの業界や会社に応募して、説明会や合同イベントに参加する必要があり、時間や労力はかなりかかる。

それが最初から企業名が分からない状態で、純粋にやっていることや、会社が目指していることを聞けるので、名前を知らなかった良い会社と出会いやすくなりそう。

知名度に頼れず企業も実力勝負…問われる企業の“魅力”

堤 礼実 キャスター:
一方の採用する側の企業にとっては、どうなんでしょうか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
会社側にとってもメリットが大きい。就活で優秀な学生に集まってもらおうと思えば、会社名が知られていないと不利なことは事実。やはり、知らない会社は応募する対象になりづらいし、イベントでもよほど目立つようなことをしないと、ブースに立ち寄ってもらえなかったりする。

また、商品名やサービス名は知られていても、会社名が知られていないため、商品やサービスの知名度に比べて採用が苦戦してしまう会社も少なくない。

なので、有名なサービスや商品名に合わせて社名を変える会社もたくさんあるくらい、人材の採用では、企業名の知名度は大事。

堤 礼実 キャスター:
会社の知名度に頼れないとなると、より企業がもつ魅力が問われることになるのかもしれませんね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
今回のイベントは、ある意味、本当の実力勝負。なので、知る人ぞ知る良い会社など、隠れた優良企業に優秀な人材が集まるきっかけになるかもしれない。

また、今後は学生も名前や学校名がわからない状態で参加していたら、お互いバイアスなく、より本質的なマッチングが進むかもしれない。

堤 礼実 キャスター:
仕事をする上で、やりがいを感じられるかどうかは、とても重要なことだと思います。生活において仕事が占める割合は大きいからこそ、見かけでなく、中身をしっかり見たうえで、自分のやりたいことや、キャリアビジョンを決めることが大切だと思います。

(「Live News α」8月2日放送分より)