頭の中の物語が、マンガになるアプリがお披露目された。

世界中で大ヒットし日本アニメファンを増やした「鬼滅の刃」
世界中で大ヒットし日本アニメファンを増やした「鬼滅の刃」
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世界中で、ブームを巻き起こしている日本のマンガやアニメ。

集英社の「少年ジャンプ+(プラス)」編集部と、IT企業「面白法人カヤック」が共同開発した、“絵を描かずに”マンガをつくることができる新しいアプリ「World Maker(ワールドメーカー)」の体験会が26日に行われた。

これまでは、マンガのネームやアニメなどの映像コンテを書く際は、一から絵を描く必要があったが、今回発表されたアプリを使えば、誰もが簡単に“絵を描かず”に思い通りの作品を書くことができる。

ジャンプ+編集部員・林士平さん:
マンガを描いたことがない人、物語を描いたことがない、もしくは描こうとして諦めた人たちに、お届けして「ちょっと作ってみませんか?」と。

実際に4コママンガを作ってみると―

まず、アプリ内に用意されているテンプレートのコマ割りを選択する。

次に、キャラクターの動きに合わせて、オノマトペや背景などのパーツを配置。

自分のアイデアを形にしやすくするため、素材は600万種類以上もある。

最後にセリフを入力すれば、1コマ目ができあがり。

開始から約10分後には―

上中アナと堤アナがバトルするマンガが10分で完成!
上中アナと堤アナがバトルするマンガが10分で完成!

リポート:
完成しました!上中アナと堤アナが登場する、バトルマンガになっています。

さらに、アニメ製作の設計図・映像コンテも作ることができ、動きも確認できる。

試しに設定してみると、自分の頭の中のイメージの映像化も可能に。

他にも、セリフの読み上げ機能で、想像の幅が広がる。

「ワールドメーカー」は、17カ国語に対応した自動翻訳機能を搭載している。

さらに、作者をフォローしたり、作品にコメントしたりできるコミュニティ機能で、世界中に自分の作品を発信することができる。

ジャンプ+編集部員・林士平さん:
お客様の声を聞きながら、より使いやすくて、より作りたいと思えるアプリケーションにアップデートしていきたいというのが一つと、本当に世の中の方が読むだけではなくで、作る楽しさをちょっとでも知ってくれたら、うれしいなと思う。

“つくる人を増やす”。このアプリ「ワールドメーカー」で未来のクリエイターの発掘を目指している。

出版業界・原作者ともに潤う“ビジネスチャンス”に

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに、話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
長内さんは、人気マンガのキャラクターの行動から、マネジメントを学ぶ連載をされているほどのマンガ好きですが、今回の試みいかがですか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
漫画家はマンガのプロですが、様々な物語に出てくる職業や状況を、必ずしも良く知っているわけではありません。そこで、作画と原作のクリエイターを分けることで、リアリティがあり、面白い物語を作品にできるわけです。

マンガ原作を募るプラットフォームという新しい試みは、出版業界の大きなビジネスに成長する可能性があります。

堤 礼実 キャスター:
それは具体的には、どういうことでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
少子化の影響を受けて、マンガ市場は縮小しているのではないか、そう思う方もいるかもしれませんが、実は2021年のマンガ市場は、紙と電子媒体を合わせた総額は6759億円となり、2年連続で過去最高益を更新しています。

市場の成長を牽引しているのが「鬼滅の刃」「東京卍リベンジャーズ」といったメガヒット作品です。マンガはアニメ化や映画化を含めて、世界市場を狙える優れたコンテンツでもあります。

今回のマンガ原作のプラットフォームからヒット作品が生まれると、出版社は潤い、原作者も大きな収入を得ることができるはずです。

ITを活用した“ユーザーイノベーション”

堤 礼実 キャスター:
YouTubeやTikTokなどを活用して、プロのクリエイターになる方がいますが、これからはマンガ原作でも、そうなるわけですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
今回の試みのように、ユーザーが新たな製品やサービスの担い手になることを、経営学では「ユーザーイノベーション」と呼びます。これは、MITのフォンヒッペル教授が1980年代より提唱してきました。

ただ、ユーザーイノベーションには、ユーザーのアイデアを集め、実用化するコストがかかることから、当初は否定的な意見も多くありました。

ところが、ソフトウェア産業や、IT技術の発展により、多くの個人のアイデアや情報を共有することが容易になったため、今日では多くの産業でユーザーイノベーションが活用されています。今回の取り組みも、ITを活用したユーザーイノベーションのひとつといえるでしょう。

堤 礼実 キャスター:
私自身は絵がそんなに得意な方ではないので、このアプリは是非使ってみたいと思いました。使い方によっては、仕事や生活の中で役立つ場面もありそうですし、デジタルの力を借りる事で、可能性が広がるのはとても素敵ですね。

(「Live News α」7月26日放送分より)