車の売買、車検、修理などを扱う全国で約260店舗を展開する「ビッグモーター」。

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公表された調査報告書から、事故などで修理が必要になった車に故意にキズをつけるなどし、修理費用を水増し。損害保険会社に不正に保険金を請求していたことが明らかになりました。

「完全犯罪しときあす」元整備責任者が不正を新証言

「めざまし8」が元整備責任者から入手した、2年前に撮影されたという映像には、タイヤにドライバーでネジを突き立てる、元工場長の姿がありました。

元工場長「写真映りはこのくらい。ここに刺して、ここから撮ったら溝があるような感じ」

ネジを押し込み、タイヤを故意にパンクさせる
ネジを押し込み、タイヤを故意にパンクさせる

押し込むようにドライバーを回し始めると、次の瞬間、タイヤはパンクしてしまいました。

動画を撮影した元整備責任者:
不慮の何かで、タイヤが使えなくなったときに、「タイヤ補償を使ってタイヤを交換しますよ」という保険商品なので。タイヤにビスを立てて、「パンクしている」と申請する。

タイヤがパンクした際に、最大4本のタイヤすべてを、新品のタイヤに交換することができる「タイヤパンク保証サービス」を悪用し、元工場長はわざと顧客のタイヤをパンクさせ、保険会社にタイヤ代を不正に請求していたというのです。

ビッグモーターから出された調査報告書で「不正が行われていた」と指摘されていたのは、板金や塗装を行う部門でしたが、元整備責任者によると、撮影した動画は、車検などを行う整備部門でのことだったといいます。

また、パンクによって交換されたタイヤ代は、保険会社が負担していましたが、工賃はドライバーに請求する仕組みだったといいます。その値段にもからくりが…。

動画を撮影した元整備責任者:
タイヤを交換する工賃ですね、通常の工賃の2倍を取っていたので。

通常はタイヤ4本分で6000円ほどの工賃ですが、倍の約1万2000円の工賃をとっていたといいます。一方、元整備責任者が勤めていた店舗では従業員の間で、こんなLINEのやりとりも行われていました。

従業員A「お疲れ様です!交換したていで大丈夫です!!」
従業員B「CVT(車用オイルの一種)交換したていで 完全犯罪しときあす!!」

動画を撮影した元整備責任者:
車にはエンジンオイルという、よく知られたオイルから、ギアチェンジ用のオイルだったり、油というものが結構あちこちに使ってあって。それをメンテナンスで交換するんですけど、替えないといけない量を替えたことにして。実際は替えていないとか、数量をごまかして替えたりとか、そういうふうなごまかしはありましたね。ほぼ全部、全部の車検の台数すべて。

元整備責任者によると、車検の際にオイルを入れ替えていないにも関わらず、入れ替えたものとしてドライバーに請求していたというのです。

タイヤを故意にパンクさせる行為や、虚偽のオイル交換を行っていたのは熊本県内の支店。今年3月には、整備記録簿に虚偽の記載があったなどとして行政処分を受けていました。

広がる波紋…今後の対応については?

「めざまし8」が、タイヤを故意にパンクさせる行為について、ビッグモーターに取材すると、以下の回答が返ってきました。

ビッグモーター担当者:
動画は把握しておりますが、撮影現場については確認できておりません。タイヤの不正請求に関する件については、社内調査も実施し、監督官庁への報告も受理完了しております。

また、オイル交換の不正については。

ビッグモーター担当者:
お問い合わせいただいた店舗については、ご指摘いただいた事案も含め不正を把握しており、地元警察への相談も含め対応を実施しております。関与した社員は自主退社しており、会社として返金対応も完了しております。

今回の問題を受けて、ビッグモーターの兼重宏行代表取締役社長は、報酬の100%を1年間返上すると表明。さらに、CMに出演する佐藤隆太さんが、CM契約を解除する方向で調整していることが所属事務所への取材で明らかになっています。

国土交通省は近く、ビッグモーターに聞き取りを行う方針です。

(めざまし8 7月20 日放送より)