子どもの夏風邪「ヘルパンギーナ」の感染者が急増している。もともと夏に増える傾向にあるが、2023年は新型コロナの感染対策緩和も増加の原因になっていると指摘されている。予防には、基本的な感染症対策と免疫力アップが重要と医師は話す。
7月時点で前年超の感染者
福島県内49ヵ所の小児科定点医療機関からの報告では、6月上旬は12人だったが、右肩上がりに感染者が増え、6月26日の週から7月2日の週が121人。そして最新の発表では7月3日から9日までが338人と急増している。
2023年はこれまでの合計が581人となり、すでに2022年の462人を上回っている。

喉の奥に小さな水疱
福島県郡山市にある「さかい小児科クリニック」では、7月に入り「子どもの夏かぜ」が急増していて、取材した日も朝から多くの患者が訪れていた。診察開始の午前9時から約30分で、すでに11組の患者が診察を待っている状況。この病院では院内の待合室だけでなく、感染対策のために車で待ってもらうようにしているが、すでに駐車場は満車状態だ。

前夜に、39度以上の発熱の症状が出たという男の子は、ヘルパンギーナと診断された。症状は、突然の発熱やのどの奥に小さな水ぶくれが出来るのが特徴。

感染対策の緩和…他の感染症も
元々この時期に「ヘルパンギーナ」は流行するが、どうして2023年は感染者が急増したのか。さかい小児科クリニックの酒井英明理事長は「コロナの感染対策が緩和され、人の動きが活発になった」とコロナ感染対策の緩和が増加の原因と指摘する。

ヘルパンギーナの他にも、手足や口に水ぶくれが出来る「手足口病」や、呼吸器の感染症「RSウイルス」なども増加している。

基本的な感染対策と栄養を
酒井理事長は、石鹸による手洗いやうがいの基本的な感染対策に加え、十分な休養とバランスの取れた栄養を取りウイルスに負けない免疫力を付けることが大切だという。
ヘルパンギーナのウイルスは、腸で増殖するため、排泄物からの感染や接触感染が主な感染ルート。日頃からアルコール消毒だけでなく、石鹸を使った手洗い・うがいは大事だが、子どものおむつなどを変える際には、よりしっかりと石鹸で手を洗うことが大切だ。

プリンやゼリーで栄養補給
ヘルパンギーナは「発熱」そして、「のどの水ぶくれ」が特徴の夏かぜの一種。ひどい時には、つばを飲み込めないほどの痛さを感じるという。さかい小児科によると、大切なのが脱水症状にならないように十分な水分を摂ること、喉の痛みで食欲もなくなるので、プリンやゼリーなど噛まずに飲み込めるもので栄養補給をすることを勧めている。

どの感染症も、基本的な対策が予防法となるようだ。引き続き、消毒・手洗いなどが大切になる。
(福島テレビ)