7月14日午前9時、秋田県のJAXA能代ロケット実験場で始まった、モーターの燃焼実験。異変が起きたのは点火から57秒後のことだった。

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突然、モーターから激しい炎が噴き出し、轟音とともに爆発。

モーターから激しい炎が噴き出し爆発
モーターから激しい炎が噴き出し爆発

周囲には破片が飛び散り、空には大きな黒煙が立ち上った。

破片が飛び散り、黒煙が立ち上る
破片が飛び散り、黒煙が立ち上る

大きな音がして窓が揺れ…爆発の衝撃

行われていたのは、開発中の国産小型ロケット「イプシロンS」のエンジンにあたる「第2段モーター」の燃焼実験。

爆発の衝撃は実験場の周囲にまで広がり、動画を撮影した人は「大きな音を聞いて、地響きを感じた後に表に出たところ、高く煙が立ち上っていた」と話す。

爆発の衝撃は実験場の周囲にも
爆発の衝撃は実験場の周囲にも

株式会社JES 信太賢一さん:
イスに座ってたんですけど、足元から揺れるような感じの…窓とか振動するような。

火は約2時間後の午前11時過ぎに鎮火したが、実験が行われていた建物は壁が崩れ、周囲にはがれきが散乱していた。

爆発の衝撃は、約5km離れた住宅街にも及んでいた。

約5km離れた場所に住む人:
家の2階からゴーという、ごう音が鳴るのを聞きました。窓がガタガタと揺れていた。

来年度の「初号機打ち上げ」時期にも影響か

イプシロンSは、小型衛星の打ち上げ需要が高まる中、日本がロケットビジネスで海外勢に対抗する切り札として、来年度の運用開始を目指していたもの。

JAXAは、この失敗の原因については「調査中」としながらも、点火20秒過ぎから異変が起きていたと説明した。

JAXA担当者:
“最後の試験”で今回の異常が起きてしまったことは、非常に残念なことです。元々予測していた推力、圧力よりも多少高めに移動していた。

日本のロケット開発をめぐっては、2022年10月、改良前の主力ロケット「イプシロン6号機」が打ち上げに失敗。さらに、3月にも新型の国産主力ロケット「H3ロケット初号機」が打ち上げに失敗している。

JAXA担当者:
ちょっと失敗が続いているということで、非常に残念ではあります。反省すべき点はしっかり反省しないといけないと思います。

JAXAは今回の実験失敗で、来年度に予定しているイプシロンS初号機の打ち上げが遅れる可能性もあると説明。
一方で専門家は、“打ち上げ前の段階で失敗したことに大きな意味がある”と指摘する。

和歌山大学・秋山演亮教授:
実験段階で失敗・爆発したことによって、めちゃくちゃわかることが多くて。問題は、なぜ爆発に至ったのかを究明することがすごく重要。

(「イット!」7月14日放送分より)