国会内で13日に開かれた、立憲民主党主催の「動物愛護議員サミット」に、動物愛護活動に力を入れている女優の杉本彩さんが出席。動物虐待の現状について説明し、法改正の必要性を強調した。そこで示された虐待の事例は大変深刻なものだった。

虐待動物を保護する団体の代表理事を務める杉本さんは、会の冒頭、「日々、本当にひどい通報がある」と述べ、動物虐待の具体例をあげていった。
冒頭に「これはひどい」と取り上げたのが、虐待を受けた動物が、その後も適切に保護されていない問題だった。動物愛護団体の施設内で起きた犬への暴行事件では、大学病院での検査の結果、犬に脳挫傷や目の障害などの異常が確認されたにもかかわらず、所有権をたてに、犬を虐待した所有者に返すよう要請されたという。
会場では暴行の動画が流された。団体の代表は暴行について「言うことを聞かない凶暴な犬をしつけするにはこういった暴力が必要だ」と説明したというが、杉本さんは「ナンセンスの極み。明らかに虐待以外のなにものでもない」と一刀両断した。
杉本さんはその上で、「所有権を行使されると、どうにもレスキューできない」「窃盗罪に問われかねないので何とかしたくても手も足も出ない」と指摘しつつ、行政の消極的な姿勢に苦言を呈した。そして「再犯の恐れがある動物の飼育を、期限付き、あるいは一生涯禁じる法整備も必要だ」と訴えた。

さらに杉本さんは、ペットの移動販売の実態が「悲惨だ」と指摘した。杉本さんによると、子犬や子猫を長時間移動の末、地方の臨時会場やトラックなどの特設会場で販売する業者がいるが、販売した動物が購入後数日で亡くなったり感染症が発覚しても、業者と連絡がつながらず、購入者がほぼ泣き寝入り状態になることがほとんどだという。また、子犬や子猫を長時間かけて輸送し、温度管理もされていない炎天下の駐車場やアイススケートリンクで販売するなど、体温調節が出来ない幼齢動物に過酷な環境で販売が行われているという。

杉本さんは、こうした状況を踏まえ、動物取扱業について、ペット業者などの「第1種」、動物愛護団体などの「第2種」ともに、現在の登録制や届け出制ではなく、より厳しい許可制にする必要性を訴えた。
杉本さんが第1種のペット業者をめぐる問題で「本当に悲惨」として紹介したのは、獣医師免許のない繁殖業者のオーナーと、複数の従業員により麻酔なしでの帝王切開が行われていた件で、「ずぶの素人がやれば殺傷行為にほかならないが、どうやら氷山の一角のようだ」と指摘した。また、第2種の動物愛護団体に関しても「質が低下して悪質になっている」と指摘し、悪質な販売事業者の隠れ蓑となっていたりする例に言及した。
この会合に出席した立憲民主党の泉代表は、「問題意識、課題意識を共有して、国会、議会の中でルール作りに努めていきたい」と述べ、動物愛護法の改正に積極的に取り組む姿勢を示した。