兵庫・丹波市で、夜な夜な民家からサンダルや靴が盗まれる不可解な事件が発生。犯人は一体誰なのか?住民が設置した防犯カメラの映像に、犯行の瞬間が捉えられていた。

山頂付近で見つかるようになったサンダルや靴

兵庫・丹波市氷上町にある甲賀山。この山の周辺で今、不思議な現象が起きていて、住民が困惑している。

成松連合区自治会副会長・荻野隆司さん:
ここにずらっとあって、こちらにも草履があって。気持ち悪いほど。増えていきましたね

ーー何足くらいあった?

成松連合区自治会副会長・荻野隆司さん:
70~80足くらいあったんちがいますかね

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荻野さんによると、3月頃から山頂付近で、サンダルや靴が見つかるようになった。

日がたつに連れて、その数は増えていったという。

成松連合区自治会副会長・荻野隆司さん:
キツネにつままれたような感じやね。本当に

取材している最中にも…。

記者:
あ、あります!

成松連合区自治会副会長・荻野隆司さん:
ほんまや。ここにもあるな。これね、小学生の…スニーカーですかね。最近かな…、この前はなかった

回収された靴の数はなんと約100足。
一体、どんな目的で山頂に集められているのか…。

防犯カメラが捉えた決定的な瞬間!

サンダルを盗まれた住民が防犯カメラを設置すると、そこには決定的瞬間が捉えられていた。

キツネの被害にあった人:
防犯カメラをここに設置して…。目の前でとっていく姿を撮りたいなと思って仕掛けていた

これは6月8日の午前2時に撮影された映像。
警戒しながらカメラの前に現れたのは…なんとキツネ!

 サンダルを見つけて臭いを嗅いだ次の瞬間、パクッとくわえてそのまま夜の闇の中に消えていった。

キツネの被害にあった人:
思ったより大きかったですね。やせ細っていました

この男性の家では、連日、片方のサンダルだけが盗まれていた。

キツネは盗んだサンダルなどを近くの甲賀山の山頂まで持って行っては、そのまま放置しているようだ。山の麓の神社をのぞいてみると偶然にもキツネが祭られていた。

一体この地域で、どれくらいの被害が出ているのか? 
住民が甲賀山から回収してきた履物を数えてみると、およそ100足あった。

ゴム製のサンダルが多く、かんだ痕がしっかり残っているモノもある。 
地元の小学校でも、6月中旬以降、児童4人の上履きが相次いでなくなっているのが見つかった。

丹波市立中央小学校・村岡昌幸教頭:
通常、名前のシールが貼ってあるところに全部シューズがあるんですけど、下の段はキツネがとどくということで、下から2段目までは置かないようにして、全部上のほうにシューズをあげてもっていかれないように

さらに、ネットを張ってキツネが入ってこないよう、対策をとっている。
なぜキツネはサンダルばかり盗んでいくのか、住民は首をかしげる。今、キツネに伝えたいこととは…?

成松連合区自治会副会長・荻野隆司さん:
もういい加減にしてよと

丹波市立中央小学校・村岡昌幸教頭:
来ないでくださいと

子供たち:
靴を盗むな~

”使用済み”の履物ばかりとられる理由は…

犯人はキツネだったというまさかの展開だったが、100足以上とっていくとなると、地元の人たちにとって困ったものだ。 

実は新品よりも使用済み、つまり履き古したものばかりとられていた。この理由について、キツネと人間社会を研究する麻布大学の塚田英晴教授によると“エサ”と間違えているそうだ。

野生のキツネは腐敗した食べ物もエサにしているのだが、サンダルなどにつく人間の汗が、食べ物が腐敗した時の臭いと似ているそうだ。

なので、新品よりも使い古した履物をエサだと勘違いして、持って行ってしまうということ。では、なぜこんなに大量に盗んでいるのか。

それは、子ギツネがせがむから。

いまはちょうど子育ての時期。親キツネが子ギツネにスリッパを与えても、もちろん食べられない。
そして「もっとエサをくれ」とせがまれるので、また一生懸命エサを探して、エサと間違えた履物を盗んで運ぶ…という連鎖が起きていると考えられる。 
これは、子育て中に限定される行動なので、8月初旬くらいには終わるということだ。

人間にとっては困った状況ですが、キツネにとって、おなかをすかせた子どもを守るための行動だと知ると、なんだか切ない気もしてくる。

上手にキツネと共存して、対策を講じることが必要なのかもしれない。

(関西テレビ「newsランナー」7月12日放送)

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