想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」。

今回は、夏休みや車でお出かけする時に寄ってみたい「道の駅」がテーマ。

「食べられない道の駅」や「買い物できない道の駅」「狭すぎる道の駅」まで、ついつい寄りたくなる魅力あふれる道の駅を紹介する。

まずは王道の、おいしいグルメが充実している道の駅から紹介していく。

グルメが楽しめる道の駅

専門誌『フリーペーパー道の駅』の読者が選ぶ、グルメ部門1位(今年4月発表)に輝いたのは、静岡「道の駅 伊東マリンタウン」だ。

そのグルメが、新鮮な魚介を盛りに盛った「漁師の漬け丼」。

漁師の漬け丼(2750円)
漁師の漬け丼(2750円)
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特製ダレに漬け込んだマグロやサーモンにイカ、イクラがこぼれんばかりにのっており、凝縮されたうま味を堪能することができる。

そして、福岡「道の駅 みやま」に今年オープンした「みやま果寮(かりょう)」では、フルーツ団子が大人気だという。

ペースト状の枝豆×福岡名産あまおう ずんだ餡とあまおうのフルーツ団子 360円※販売期間12月~5月
ペースト状の枝豆×福岡名産あまおう ずんだ餡とあまおうのフルーツ団子 360円※販売期間12月~5月

福岡県名産のいちご「あまおう」の濃厚な味わいと、ペースト状にした枝豆のまろやかな甘みがたまらない「ずんだ餡とあまおうのフルーツ団子」など、全9種類を楽しむことができる。

一方で、ナナメ上なグルメがある道の駅も。

食べる前に念書を書くグルメがある道の駅

福島・平田村にある「道の駅 ひらた」。

直売所には地元で採れたアスパラガスやキュウリ、そして福島を代表する果物、桃など、約25種類の農産物が並んでいる。

福岡「道の駅 ひらた」
福岡「道の駅 ひらた」

一見、どこにでもある道の駅。

しかし、食事処に行ってみると、店頭の販売機で驚いてしまう名前の食べ物を発見した。

「生(いき)地獄カレー」という、名前からしてナナメ上なカレーだが、“生(いき)地獄”とはどんなカレーなのか。

調査員が食べようと食券を買うと、駅員さんが持ってきたのは一枚の紙。

その紙には「念書」と書かれている。

つまり、食べる前に「自己責任で食べる」といく念書を書く儀式をしないと食べられないというのだ。

それもそのはずで、「生き地獄カレー」とはハバネロを12個分も使った激辛パウダーが入っている、超刺激的なカレーだった。

生地獄カレー 950円
生地獄カレー 950円

念書を書いて、いざ、実食する。

最初の一口は大丈夫か、と思いきや、調査員は「辛っ!辛いです!口の中が燃えさかっています!」と辛さを痛感。

生まれて初めて経験する辛さに、苦悶の表情を浮かべる調査員。

これは文字通り“生き地獄”…だ。

実は、平田村は東日本大震災後の風評被害で農産物が一時売れない状態になってしまった。

そんな中、ある農家が「見た目がかわいいから」という、ひょんな理由でハバネロを大量に栽培。

「どうせ辛いなら、とことん辛いものを作ろう」と、2016年に「日本一辛い村」を掲げ、ハバネロを使った加工品を開発した。

激辛カレーの他にも、ハバネロ味噌や大量のハバネロパウダーを振りかけたソフトクリーム“ハバネロソフト”などを販売しており、今ではハバネロ目当てのお客さんも訪れるという。

続いては、道の駅の楽しみが味わえない道の駅。

買い物ができない道の駅

道の駅といえば、その土地でしか手に入らない特産物を買うのも、楽しみのひとつ。

しかし、岡山・矢掛町(やかげちょう)には特産品が買えないどころか、グルメも堪能できない道の駅があった。

岡山「山陽道やかげ宿」
岡山「山陽道やかげ宿」

それが「山陽道やかげ宿(じゅく)」。

このオシャレな建物は岡山県出身の日本を代表する工業デザイナー・水戸岡鋭治(みとおかえいじ)さんが全面監修し、総事業費は約12億円。とっても立派な道の駅なのだ。

それなのに買い物もグルメも堪能できないとは、どういうことなのか。

入り口を入ると立派なソファや椅子が並ぶ休憩スペースがあり、その向かいには岡山県の特産品のそうめんや伝統の和菓子などが置いてある。

これらは買えないのか。

駅長の奥野さんいわく「ここの館内では飲食も物販の販売もしていない。飲食やお買い物は全て商店街で利用していただく。町の良さもお知らせしていきたいと思っています」とのこと。

実は、道の駅のすぐ近くにある矢掛商店街は旧山陽道の宿場町で、重要文化財の住宅も建ち並ぶ歴史ある場所。

その商店街をぜひとも訪れてもらいたいと、この道の駅ではあえて何も売らず、あくまで玄関口としての役割にしたのだという。

町全体を考えた、粋な道の駅だった。

続いては、広さがナナメ上な道の駅。

東京ドーム11個分の広い道の駅

全国に1204駅ある道の駅の中で、最大級の広さを誇るのは栃木にある「道の駅 みぶ」。

その広さは何と、東京ドーム約11個分もある。

栃木「道の駅 みぶ」 画像:みぶハイウェーパーク・道の駅 みぶ
栃木「道の駅 みぶ」 画像:みぶハイウェーパーク・道の駅 みぶ

高速道路のパーキングに連結していて、売店、食堂、農産物直売所はもちろん、四季折々の花々が楽しめる公園も併設されている。

さらに、1960年代に作られた貴重なおもちゃなど、約9000点を展示する「おもちゃ博物館」もあり、一日中遊べる道の駅になっている。

広い道の駅がある一方、小さすぎる道の駅もあった。

日本一小さな道の駅

北海道・函館から約70キロ、日本海に面した「道の駅えさし」。

一見、普通のサイズに見えるが、大きい建物はトイレで、隣の小さい建物が道の駅となっている。

北海道「道の駅 えさし」
北海道「道の駅 えさし」

のれんには「日本で一番ちいさな道の駅」という文字があり、その広さは約8畳。

ちなみに隣にあるトイレは、44畳だという。

そんな小さすぎる道の駅の中はどうなっているのか。

入口の左手には「小さい」にちなんだミニバッグ、ミニ巾着などが並んでおり、右手には観光案内の掲示板がある。

入口から数歩歩けば、反対側の出口に到着。確かに狭いが、なぜこんなに狭いのか。

実は目の前に広がる浜辺に遊びに来る人が多いため、そのスペースをなるべく残すためにあえて小さく建てたのだという。

「正面から入っていただいて、そのまま海に抜けていく方が多いので、そんなに混み合っている風には見えない感じですかね」(道の駅 えさし担当・藤島亮さん)

思わず寄りたくなる道の駅。あなたもナナメ上な道の駅を訪れてみてもいいかもしれない。

(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年7月11日放送)