テクノロジーの祭典「DXエクスポ」でAIの新たな可能性が示されている。

この記事の画像(16枚)

かわいらしい接客をしてくれるAIに、顔認証付きのAIカメラ。

江東区の東京ビッグサイトで、「AI World」が13日まで開催されている。

その中で注目したのは、録音・文字起こし・音声解析ができるAIだ。

通話やオンライン会議、対面でのやりとりを可視化し、評価してくれる。

話す速度や、会話のかぶり・沈黙・やりとりの回数を数値化することで、コミュニケーション力の把握が可能となり、改善に繋げられるという。

また、会話の抑揚もグラフにすることで、相手がどこに関心を持ったのかなども分かり、サービスの向上や業務の効率化などにも期待ができるそうだ。

レブコム営業部・仲泊巧さん:
コールセンターとかで言うと、10名で運用していた部分を人員適正化して9名にできたり、応対品質が向上したことによって、案件の継続率が10%アップした。

接客を自動化するAIもある。例えば、「駐車場はある?」という質問に対し、今までは「あります」「ありません」などの端的な回答が多くみられた。

しかしこのAIを使うと、使用可能時間や料金、EV充電設備などの細かなものまで得ることができる。

カサナレ・安田喬一CEO:
パーソナルな最適な回答を出せるAIのコミュニケーションツールがあれば、日本全体のDXに貢献できるようになって、日本全体の生産性に貢献できる。

Finability SciencesのAIは、企業に応じてカスタマイズすることも可能だ。

自社で持つ大量のデータに加えて、天候、市場動向、ニュース記事、SNS投稿などもAIに学習させることで、より正確な予測ができ、大幅なコストカットにもつながるという。

Findability Sciences AIソリューション営業部・仁田卓司さん:
人でやっている部分を自動化できるという点と、人で予測できなかった気づかなかったポイントみたいなものも出すことができる。

主催者:
まだまだビジネス活用というのは広がっていない。ビジネスマッチングがたくさん起こることで、AI活用の促進が、より我々展示会の手で少しでもお力添えができたらなと。

AIの限界を理解して良好な関係を

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
AIの活用が進んでいくと、ビジネスのあり方も変わっていきそうですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
実はすでにビジネスの現場でAIの導入がかなり進んでいます。

例えば、自動で統計データを処理して資料作成などを自動で行うRPAなどは、これまでも多くの企業で導入実績があります。

いま話題のChatGPTに代表される生成AIも、さまざまな形にカスタマイズされて、現場で提供されようとしています。

携帯電話とパソコンを組み合わせることでスマートフォンが生まれたように、多くのイノベーションは、既存の知識同士の結合によって生まれています。

AIがイノベーションを生み出すということも、現実的な話になってきたと思います。

データからの予測には不確実性がある

堤 礼実 キャスター:
AIの普及によって、人間の役割を心配する方もいるように思いますが、これについては、いかがですか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
AIはあくまで過去のデータから言えることしか、答えを出すことができません。これは大きなポイントのひとつです。

まだまだ人間のクリエイティブな側面は、さまざまな業務にとって必要です。具体的には、不確実性が高い状況で、非連続なイノベーションを求められる時などです。

例えば、企業は5年後、10年後に成長している事業が必要になります。

それをAIが正しく予想してくれるかというと、なかなか難しいように思います。AIが学んだ過去のデータにない状況が生まれる可能性、つまり不確実性があるからです。    

効率性だけを重視してAIを重用しすぎると、不確実性に対処しきれないケースがあります。このあたりの限界を理解しながら、AIとの良好な関係を保つ必要があります。

堤 礼実 キャスター:
AIによって、もっとも影響を受ける分野について、どういったものがあるのでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
先程、お話ししたように生成AIには、既存のデータが必要なため、データの価値が今以上に高まると考えられます。

生成AIがビジネスになることが分かり、もう実際にツイッターなどのSNSは、AIにデータを自動収集されないような対抗手段をとっています。

これからは、インターネット上の大量データの利用にも費用が発生していくなど、これまでにない状況が生まれる可能性があります。

堤 礼実 キャスター:
さまざまな可能性をもつAIですが、AIを中心に物事を進めるのではなく、あくまで力を借りるという意識で利用すべきだと思います。

AIと共存するのではなく、人がAIを上手く利用した先に、明るい未来があるのではないでしょうか。

(「Live News α」7月12日放送分より)