昆虫の王様“カブトムシ”でまちおこしをする福島県田村市。カブトムシの魅力と田村市の豊かな自然を発信しようと、市役所に新設されたのが「昆虫課」 ユーモアあふれる本気の取り組みから目が離せない。
全国初!? 昆虫課
「辞令。職員・カブトン。産業部昆虫課長を命ずる」
田村市のキャラクター「カブトン」が課長に就任し、7月10日に設立した「昆虫課」 早速、カブトン課長が初めての朝礼で「昆虫を活用した交流人口の拡大に取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします」とあいさつ。「昆虫課」の目的は、田村市の魅力を全国に発信することにある。

捕獲や飼育方法の相談にも
自然豊かな環境で、約40年前から「カブトムシ」を観光資源として“まちづくり”を進めてきた田村市。昆虫課では、これまで培ってきたノウハウをいかし、カブトムシの捕まえ方や育て方などの相談にも応じる。

観光の起爆剤に
田村市の白石高司市長は「3年余に及ぶコロナ禍で、観光は大変疲弊した。もう一度観光事業を立ち戻したいと考えていた」と話す。

昆虫課では7月末にも、首都圏などの子育て世代を対象に、市内を巡り昆虫採集などを実施。参加者の感想や意見をもとに、今後 旅行商品の販売を目指している。

観光施設もリニューアル
約1000匹のカブトムシを見て・触れて楽しむことができる「ムシムシランド」は、2023年7月15日にリニューアルオープンする。カブトムシに触れられるドームを新しく作り、昆虫館には田村市に生息する昆虫の展示や写真スポットのコーナーを設けた。

田村市産業部の吉田淳部長は「県内だけではなくて、全国の方々に来ていただきたい」と期待を寄せる。昆虫課の設置も追い風に、2022年の約1万7000人を超える集客を目指す。

全国初の昆虫課 役割は多岐に
昆虫課は観光交流課にある仮想の課なのだが、昆虫採取や生息地の見学に関する相談受け付け、昆虫の魅力発信やムシムシランドの誘客観光ツアーの開発などを担う。また市長は、原発事故の後もカブトムシが元気に成長しているところを、国内や世界に発信したいとしている。

田村市では協議会も発足
「昆虫課」のほかに「昆虫の聖地協議会」を、福島県内外の自治体と発足した。この協議会では、それぞれの自治体が「推し生物」を掲げていて、田村市はクワガタ、カブトムシ。福島県南相馬市はトンボ、宮崎県延岡市はヘラクレスオオカブトなど。これらをPRし、連携をしながら自然や里山の保全などに取り組んでいく。

福島県内の自治体も多く参加していて、福島の新たな観光の魅力につながることにも期待される。
(福島テレビ)