福岡と大分に出されていた大雨特別警報は、7月10日17時半頃、警報に切り替えられたが、依然として警戒が必要だ。土砂災害の現場では救助活動が続いている。

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7月10日午後4時頃、FNNのヘリが上空から捉えた福岡・久留米市の被災現場。
茶色く濁った水で街は覆われていた。どこまでが川で、どこまでが道路あるいは畑・田んぼなのか、その区別が全くつかない状況になっている。

町一帯が冠水。そして、山間の集落では土石流が発生。茶色い山肌がむき出しになっている。

山肌が大きく崩れ、大量の土砂が家屋を押し潰していた。

数十年に1度の大雨 福岡・大分に被害続出

梅雨前線が活発化し、気象庁は10日の朝、福岡県と大分県に大雨特別警報を出した。

気象庁 杉本悟史予報課長:
これまでに経験したことのないような大雨となっています。

線上降水帯が相次いで発生し、九州北部を中心に数十年に1度の大雨に見舞われた。

午前11時頃に撮影した、福岡・久留米市にある国道210号線の交差点の様子を見ると、一面が冠水し、濁流であふれかえっていた。

約3km離れた田主丸町の竹野地区では、流れ出した大量の土砂が国道151号線を埋め尽くした。

この竹野地区では、住宅の裏山で土石流が発生し、少なくとも7棟に土砂が流れ込んだ。

大きな流木が流れてきたようで、住宅にせき止められるような形で散乱していた。

この土石流に住民ら14人が巻き込まれ、うち8人が救助された。
残る6人を救助中で、5人は呼びかけに応じているが、1人の死亡が現場で確認された。

午後3時頃、取材班は田主丸町へ向かったところ、町内は地面を覆った水が救助を阻む厳しい状況が続いていた。

交差点が水浸しになっていて、救助するための救急車がなかなか通れない状況にも遭遇した。

川の氾濫、土砂崩れ 雨がやんでも警戒が必要

久留米市では午前9時過ぎまでの6時間に、観測史上1位となる316mmの雨を観測。

田主丸町では、水が「田主丸中央病院」の中にまで達し、院内の廊下一面が水に浸かった。

大分・中津市では、本耶馬溪地区を流れる山国川が氾濫。濁流が道路に押し寄せ、道路標識が大きく揺れていた。

車が走る橋を叩く激しい濁流。山国川では50代女性が流されたとみられている。合わせて5つの川が氾濫した。

土砂崩れは、佐賀・唐津市の浜玉町でも発生。住宅の屋根のすぐ横を、滝のような土砂が流れていた。

土砂は住宅2棟に流れ込み、屋根瓦は崩れ散乱。
土砂の流れこんだ家に住む男性2人と高齢女性1人の、合わせて3人と連絡が取れなくなり、その後、1人が心肺停止の状態で見つかった。

九州で発生した線状降水の一部は東に流れ込み、午後2時半ごろには大阪・羽曳野市では激しい暴風雨が吹き荒れた。

九州の雨はピークを過ぎたが、地盤には大量の水分がたまっているため、少ない雨でも土砂災害などにつながる恐れがあり、警戒が必要だ。

(「イット!」7月10日放送分より)