ポイント還元開始で利用動向はどう変化した?
政府が実施してきたキャッシュレス決済でのポイント還元は6月末で終了するが、2019年時点のキャッシュレス決済比率は26.8%にとどまっている。政府は、2025年までに40%に高めたい考えだ。今後の課題を探った。
「スマートフォンひとつあれば、さまざまな支払いができる」「レジで後ろにいる人に気を遣うことがない」など、利用者からメリットが多いとの声が聞かれるキャッシュレス決済。
ポイント還元対象の店舗で、キャッシュレス決済が行われた金額と、消費支出全体の額のそれぞれについて、還元が始まった10月を「1」にして指数化したグラフがこちらだ。
この記事の画像(5枚)10月以降、還元対象のキャッシュレス決済金額は、消費全体を上回る割合で増えていることがわかる。新型コロナウイルスの感染拡大が、現金に触れずに支払いができるキャッシュレス決済の利用を促す側面もあった。
普及のカギは「利便性向上」と「店舗負担の軽減」
今後の課題のひとつは、決済サービスが乱立する中で、使い勝手をどう向上させるかだ。中小の店舗では、よく複数のQRコードが掲示されている光景を目にする。
スマホ決済で利用が広がるQRコードは、事業者ごとに規格がばらばらで、それぞれのQRコードを利用客に読み取ってもらう必要がある店舗が多いのが現状だ。
政府は「JPQR」というひとつのコードで、複数のサービスに対応できる統一規格を導入することにしているが、決済業者がどれだけ足並みをそろえられるかが効果を左右する。
また、利用客がキャッシュレス決済を行うと、店舗は決済事業者に手数料を支払うことになっている。店側の負担を抑えられる仕組みを作れるかも課題となる。
キャッシュレス普及への流れが定着していくかは、ポイント還元という官製キャンペーンに頼らない、利便性向上への取り組みがカギを握ることになる。
【執筆:フジテレビ解説委員・サーティファイド ファイナンシャル プランナー 智田裕】