福島県福島市にある野球場「信夫ヶ丘球場」は、両翼100mで収容人数は1万5000人。1950年代にはプロ野球の公式戦も行われるなど、かつては福島市の野球の聖地!?とも言われる存在だった。しかし、2023年度から中学生以上の硬式球の使用ができなくなってしまった。使用禁止の理由を取材した。

問題は…1塁側の内野席

1塁側の内野席はフェンスが低く、打球が飛んできやすい場所になっている。今は簡易的にネットをつけているが、応援席と比べて低く…隙間もちらほら。道路越しにある住宅にファウルボールが飛んでいく危険性がある。

簡易的にネットをはるが隙間がちらほら
簡易的にネットをはるが隙間がちらほら
この記事の画像(10枚)

ボール住宅直撃…苦情多数

もともとは空き地が多かった場所だが、新型コロナの影響で信夫ヶ丘球場で大会の回数が縮小されている間に、多くの住宅が建設された。野球の硬式球は、その名のとおり「硬くて重い」のが特徴。ファウルボールへの危険性を訴える苦情が多く寄せられたという。

 ファウルボールへの苦情が多数
 ファウルボールへの苦情が多数

住民の声

住民に話を聞くと
「自宅の方にも何度かファウルボール飛んできて、ぶつかったり。幸い傷つきやすい車とかなかったので、ちょっと危ないなとは思っていた」
「窓ガラスに何球か当たった。新築だが、一部破損してしまった。小さい子どもがいるので、万が一ケガをしたらと思うと、やはり怖い」
「私も野球やっていたので、やめさせたい訳ではない。ボールが飛んでこない環境を整えてくれれば」という話が聞かれた。

実際にファウルボールでの被害も
実際にファウルボールでの被害も

硬式球が使用禁止に

こうした声もあり、2023年4月から中学生以上の硬式球の使用が当面の間できなくなった。

2023年4月から中学生以上の硬式球の使用禁止
2023年4月から中学生以上の硬式球の使用禁止

福島市の中学硬式野球チーム「福島リトルシニア」は、2022年までは信夫ヶ丘球場も多く使っていたが…「信夫ヶ丘球場が使えないということで、相双の方とか、いわきの方とかに協力してもらって」と福島リトルシニアの浅見一志監督は話す。

福島リトルシニア・浅見一志監督 信夫ヶ丘球場が使えないと遠方へ
福島リトルシニア・浅見一志監督 信夫ヶ丘球場が使えないと遠方へ

野球離れを懸念

また、福島リトルシニアの斎藤直之事務局長は「近場で試合をやれる場所や機会も減るというのは率直に残念なこと」と語る。

福島リトルシニア・斎藤直之事務局長「率直に残念」
福島リトルシニア・斎藤直之事務局長「率直に残念」

同じ福島市の県営あづま球場は、年間の予定がすでに埋まっていて使うことはできないという。それ以上に指導者は、子どもたちが野球に触れる機会が減ってしまうかもしれないと心配する。

市内の球場は予約取れず 子どもたちの野球離れを懸念
市内の球場は予約取れず 子どもたちの野球離れを懸念

少子化の影響も…部員数は減少傾向

日本高野連がまとめた、福島県内の硬式野球の部員数を見ると、2014年に一度増加したが、その後は年々減少している。2023年は、2022年から110人減って2088人に。この10年では1000人が減少している。

少子化も影響 年々部員数は減少
少子化も影響 年々部員数は減少

改修には莫大な費用

指導者たちが心配するように、球場で野球をしたり、見る機会を失わせたくないが、防球ネットを設置するには数億円の予算が必要で改修に踏み切るのは簡単ではない。

防球ネットを設置するには数億円の予算が必要
防球ネットを設置するには数億円の予算が必要

福島市では、業者向けに効果的なネットの張り方を募集していて、今後 信夫ヶ丘球場が従来通りに使えるよう検討を進めている。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。