10日は関東を中心に広い範囲で猛暑日が予想され、熱中症警戒アラートが2023年最多の9都県で発表されている。
近年はそんな熱中症が社会課題となる中、ダイキン工業の調査で、夏場でも3人に1人がエアコンを使っていないことが明らかになった。その理由は「電気代がもったいない」だという。
同社は6月、生活者の熱中症対策への意識や、梅雨時期や夏場のエアコンの使用実態などを把握するため、全国の20代~60代の男女1046人を対象に調査を実施した。
その結果、梅雨時期から夏場にかけて、87.9%の人が自分なりの熱中症対策に取り組んでいることや、熱中症対策に取り組む人の多く(梅雨時期:69.0%、夏場:78.9%)はエアコンを使用していることが分かった。


一方で全体に占めるエアコン使用者は、梅雨時期で59.6%、夏場で68.7%に留まっていることも判明。
また、熱中症対策をしていない人を含めると、梅雨時期には2.5人に1人が、夏場には3人に1人がエアコンを使っていない実態も明らかになっている。

今回の調査で、梅雨時期や夏場にエアコンを使わない人にその理由を尋ねたところ、「電気代がもったいない」が最多で、梅雨時期と夏場いずれにおいても、約半数(梅雨時期:46.7%、夏場:50.4%)を占めていた。

電気代への関心の高さはエアコンを使っている人も同様で、エアコン使用者の約7割が、エアコン使用時の電気代の高さに不満を感じていることも明らかになっている。

電気代が気になる人は、どのようにエアコンを使えばいいのか?また、エアコンを使わない理由で2番目に多かったのは「必要以上に肌寒くなる」だったのだが、そのような人におすすめのエアコンの使い方はあるのか?
ダイキン工業の担当者に聞いた。
「適切な使い方」5つのポイント
――今回の調査を行った理由は?
熱中症は、より深刻な社会課題となっており、政府も熱中症対策の取り組みを強化しています。
そんな中、電気代の値上げとエアコンの節電に関する意識調査もしており、「この夏、エアコン使用を控えようと思う人は6割」ということが分かりました。
ただ、エアコンは暑い日に快適、かつ、健康的に過ごすための必須アイテムです。エアコンを使用することで熱中症のリスク軽減にも繋がるので改めて、今回の意識調査と共に上手な節電に繋がるエアコンの上手な使用法に関する情報発信をさせていただきました。
――電気代が気になる人は、どのようにエアコンを使えばいい?
電気代が気になる方への「適切な使い方」のポイントは以下の5つです。
<1>室外機周辺に障害物を置かないようにする
エアコンは、室内の空気中の熱を減らすことで室内を涼しくします。
室内機で熱を集めて、室外機から屋外に逃がしています。室外機の吸込口や吹出口がふさがれると、効率的に熱を逃がせなくなり、エアコンに負荷がかかってしまいます。エアコンの運転効率が下がることで消費電力が上がり、電気代も上がってしまいます。

<2>フィルターの掃除
フィルターにホコリが堆積すると、室内機を通る空気の量が減り、室温が設定温度に到達するまでに時間がかかり、無駄な電力の消費につながります。2週間に1回のフィルター掃除をおすすめしています。

<3>帰宅したら、まず、部屋を換気して、熱を逃がす
夏場、エアコンをつけていなかった室内には猛烈な熱気がこもることがあります。
帰宅後には、この熱気を部屋の外に逃がすようにしましょう。そうすることで、エアコンにかかる負荷を抑えられ、節電にもつながります。
<4>エアコンの風向や扇風機や空気清浄機を使った空気のかく拌で、温度ムラを抑える
暖かい空気は上昇する性質があり、夏場の室内では、天井付近と床付近の空気の温度に差が出る「温度ムラ」が起こりやすくなっています。
冷房運転時に温度ムラができていると、エアコンが「室内はまだ設定温度に達していない」と判断し、人がいる床付近は十分涼しくなっていても、必要以上に運転してしまうことがあります。
快適性の低下だけでなく、エアコンへの負荷が上がり、消費電力の増加につながります。
エアコンの風向を水平にしたり、扇風機やサーキュレーターなどを使って、室内の空気をかく拌したりするなど、温度ムラを抑える工夫をお勧めします。
<5>30分程度の外出や、定期的な窓開け換気時、エアコンは「つけっぱなし」
エアコンは、運転を開始した直後など、設定温度をめざして、室温を大きく変化させているときに多くの電力を消費します。
一方、設定温度に到達後、室温を維持するための電力は少なめです。エアコンのスイッチをこまめにオンオフすると、室温を大きく変化させるタイミングが増え、その分、エアコンに負荷がかかり、消費電力も増加します。
多くの場合、30分程度であれば、スイッチを切るよりも、つけっぱなしにしておいた方が消費電力を抑えられます。
簡単にできる電気代節約方法は風量を「自動」
――もっと簡単にできる、電気代の節約方法はある?
簡単にできる方法は、電気代節約のためにはエアコンの風量は「自動」にすることです。
風量を弱めに設定していると、ファンの回転音が静かで節電になるイメージがありますが、室内が設定温度に到達するまでに時間がかかり、その分、無駄な電気代がかかってしまうこともあります。風量は「自動」にしておくと、効率的です。
――エアコンを使わない理由で2番目に多かったのは「必要以上に肌寒くなる」。 こんな人におすすめのエアコンの使い方は?
体感温度は、温度や湿度だけでなく、「気流」でも変化します。エアコンから吹き出す風が直接体に当たり続けていると、肌寒く感じることがあります。
冷房運転の際に風向を下に向けると、温度ムラが発生しやすくなることに加え、体に直接、気流が当たりやすくなり、肌寒さにつながることもあります。
節電での使用方法と重なる部分もございますが、エアコンの風向を水平にしたり、空気清浄機やサーキュレーター、扇風機などを使って、室内の空気をかく拌したりするなど、温度ムラを抑える工夫をおすすめします。

熱中症の発生場所のうち最も多いのは「住居」で、熱中症死亡者の90%以上がエアコンを使っていなかったという。電気代が気になる人は、ダイキン工業の担当者が教えてくれた「適切な使い方5つのポイント」や「簡単にできる電気代節約方法」を実践し、命を守るためにエアコンを使ってほしい。