秋田・大潟村がデンマーク大使館やサムソ島を「自然エネルギーの島」にしたアカデミーなどと協定を結んだ。大潟村が取り組んでいる「バイオマス地域熱」をさらに推し進める予定だ。脱炭素のノウハウ、デンマークとの交流のきっかけなど背景を紹介。
東京オリンピックから交流深まる

秋田・大潟村は、2021年の東京オリンピックで、ボート・デンマーク代表チームの事前合宿地となり、1カ月の滞在中には村民と選手が交流を深めた。

オリンピックでデンマークチームは男子ペアで銅メダルを獲得するなど活躍し、コロナ禍の秋田県内に明るい話題を届けてくれた。この交流のきっかけとなったのは「再生可能エネルギー」だった。

デンマークの「サムソ島」は、島内のエネルギーをすべて再生可能エネルギーで賄っている。一方大潟村は、もみ殻を使った「バイオマス地域熱」に取り組み始めている。
サムソ島の事例を取り入れ、「バイオマス地域熱」をさらに推し進めようと、村はデンマーク大使館やサムソ島を「自然エネルギーの島」にしたアカデミーなどと協定を結んだ。

協定を結んだのは、大潟村とデンマーク大使館、それにサムソ島の再生可能エネルギーを手がけたサムソエネルギーアカデミーと村が事業を推進しようと2022年に立ち上げたオーリスの4者で、7月4日、協定書に署名を交わした。
二酸化炭素排出量0.1%以下のデンマーク
今後は脱炭素にいち早く取り組んだサムソ島の事例を取り入れ、村のバイオマス発電の推進に生かしていく。

サムソエネルギーアカデミーの代表を務めるソーレン・ハーマンセン氏は、サムソ島の電力を100%自然エネルギーに転換させた1人で、実現までには1997年から約10年を要した。ハーマンセン氏は、アメリカ「TIME誌」の「環境ヒーロー」の1人に選ばれている。

サムソ島の人口は約3,700人。主な産業は「農業」と大潟村との共通点が多く、島で培ったノウハウの活用に期待がかかる。

大潟村・高橋浩人村長:
ソーレンさんが強調するのは、いかに地域住民を巻き込んで事業化するか。単に脱炭素事業を進めるだけでなく、そこに地域住民や企業が関わることで、さらにより良い事業に進んでいくと思っていて、そうしたところはしっかり学んで生かしていきたい

世界の二酸化炭素排出量のうち各国が占める割合は、30%を超える国がある一方、デンマークは0.1%以下。

デンマークは、国内で培った技術を世界の国々に伝え、世界全体での二酸化炭素抑制を目指している。

村は、自然エネルギーで生み出した電力の供給に必要な設備工事の研修や電気の使い方などを、互いの地域を行き来して学ぶことにしている。
※高橋浩人村長の「高」は「はしご高」
(秋田テレビ)