百人一首でも知られる奈良県の竜田川が突然、緑色に染まった。現場周辺に散乱していたのは、なぜか赤色の粉。一体何が起きたのか――。

緑色に染まった竜田川
緑色に染まった竜田川
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「入浴剤放り込んだような…」

5日朝、奈良・生駒市を流れる川が鮮やかな緑に変色しているのが発見された。市は、原因が分かるまで川に近づかないよう呼びかけている。

現場は、奈良・生駒市の竜田川。午前5時頃、市や警察に「川が緑色になっている」と情報提供があった。現地を取材すると、川の水が鮮やかな緑色になっているのは確認できたが、特に匂いなどは感じられず、魚は元気に泳いでいる様子だった。

緑色に染まった川で元気よく泳ぐ魚
緑色に染まった川で元気よく泳ぐ魚

付近の住民は、「きょうここを通ったら緑になっていたのでびっくり」「入浴剤放り込んだような感じかな」などと驚きを隠せない。

竜田川は、古くから紅葉の名所として知られている。「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」という、百人一首で詠まれた在原業平の歌でも有名だ。

県や市の職員が現場に向かい調べたところ、上流の「モチ川」から緑色の水が流れ込んでいるのを発見した。このように川が緑になることはあるのか、現場にいた職員に聞くと「緑は初めて……」と答えた。

簡易検査の結果、人体に影響があるような異常な数値は検出されなかったという。しかし、市は念のため、川の水に触れず、農業用にも使わないよう呼び掛けた。

水をかけると「緑」に…原因は“赤い粉末”か

さらに、近くに住む人は5日朝、現場周辺に赤い粉が散乱しているのを見ていた。

付近の住民は「今はグリーンに変わっているけど、朝はここに赤い粉が振りかけられていた。その粉が水に反応してグリーンになっている」と話す。

市によると、川沿いの手すりなどに赤い粉末が付着しているのが見つかり、水をかけると緑色になることがわかった。

右が粉状のフルオレセイン、左は粉を水に溶かした溶液
右が粉状のフルオレセイン、左は粉を水に溶かした溶液

この赤い粉末について、専門家は「フルオレセイン」ではないかと指摘する。

日本分析化学専門学校の宮道隆教務部長は、「フルオレセインといったら固体状で、粉状のものが赤い粉。それを水に溶かした溶液になりまして、緑色の蛍光を発する物質、『蛍光物質』といわれるものなので、例えばこれが一つの原因物質しては考えられる」と解説する。

フルオレセインは目の検査薬などに使われ、おなじみの入浴剤にも配合されている。

宮道氏は、「少なくとも毒性はそんなに高いものではないので、川の魚が普通に泳いでたりというのは別に不思議はないというふうに思う」と話す。

なぜこのような物質が散乱していたのか。奈良県の担当課は、現場付近から赤い粉末を採取し、分析・調査を進める方針だ。

(「イット!」7月5日放送より)

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