いよいよ夏本番の暑さとなり、学校では水泳の授業も始まるこの時期。SNSでは、プールにまつわる“あるルール”に不満の声が上がっています。

「子どもが学校のプールで日焼け止め禁止と言われた。そんなことある?」
「木曜日からプール授業なんだけど、日焼け止め禁止なの!!おかしいって…」

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それは、水泳の授業で「日焼け止めの使用を禁止する」というルールです。

実際に、街で学生に話を聞いてみると…。

高校生(高校で日焼け止め禁止):
普段は大丈夫だけど「プールの時はつけてこないで、持ってこないで」と言われます。

高校1年生(中学時代に日焼け止め禁止):
(日焼け止めを)塗っちゃダメです。

小学生の子供がいる親からは、こんな声が。

小学4年生の子供がいる母親:
温暖化が進んでいるので、塗らないと、やけどをすることがあるので。塗ってはいけないというのは、時代錯誤だと私は思います。

中には、「あとからシミになると言われて、それが正直一番嫌です」と、体への影響を気にする人も。

「プールが濁るから…」 学校が日焼け止めを禁止するワケ

学校のルールで “日焼け止め”を禁止している学校は、どれくらいあるのか?

2015年の日本学校保健会の調査によると、プールで「日焼け止めクリームの使用を許可していない」学校は、小学校で29.9%、中学校で31.6%。高校では実に48.5%にのぼっています。

「めざまし8」が現役の学校関係者に「プールでの日焼け止め禁止」の理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。

日焼け止めの使用を禁止している中高一貫の女子校 現役教師:
生徒たちには、日焼け止めを塗ってしまうと成分とかでプールが緑色に濁ってしまうので、日焼け止めを塗らずにラッシュガードで対応するようにと伝えています。

マリンスポーツ用のアンダーウエアである「ラッシュガード」の使用を勧めているといいます。しかし、中にはこんな声も。

高校1年生(中学時代に日焼け止め禁止):
肌が弱いので、湿疹になったりするのがすごく気になって。一生懸命ラッシュガード着て…みたいな。でも、脚は若干かゆくなっちゃったりして大変でした。

高校生の子供がいる母親:
どの日焼け止めだったらプールの水が汚れるとか分かるようにすれば、改善もできると思う。

日焼け止めの使用について、日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会は、「プールの水質汚濁が懸念されていますが、耐水性サンスクリーン剤(日焼け止め)を使用しても汚濁されないことは、複数の実証実験で明らかになっています」との統一見解を公表しています。

日焼け止めを使わないリスク 「皮膚がん」の危険性も…

皮膚科の専門医は、「日焼け止めを使わないことは、子供の健康上のリスクにつながる」と指摘します。

はなふさ皮膚科 花房火月理事長:
(日焼け止めを禁止することは)かなりよくないことだと思っていて…。人間って、だいたい18歳くらいまでに、一生浴びる紫外線の量の半分くらいを浴びると言われているんですよね。日焼け止めが禁止されているというのは、将来的なシミやシワだけでなく皮膚がんのリスクにもなっている。

肌を守るために必要な「日焼け止め」。こうした声を現役の教師はどのように捉えているのでしょうか。

日焼け止めの使用を禁止している中高一貫の女子校 現役教師:
子供たちがだいぶ気にしているというのも教員の間で出るんですが、日差しも昔より強くなって気温も上がってきているので、高校もこの状況のままどこまでいけるのかな、というところもありつつ、日焼け対策は考えていかないといけないかなとは思っています。

行き過ぎたルール?  出演者も「理解できない」の声

「めざまし8」のスタジオでも議論が繰り広げられる中、多くの出演者が日焼け止め禁止のルールは「理解できない」と言います。

若狭勝弁護士:
今回のポイントは、やはり耐水性があるかどうか。耐水性があるもので日焼け止めとして塗れるものがあるとすれば、そういう状態のもとで一律に禁止するというのはありえない、行き過ぎだと思いますね。水が汚れることもないってことが実証されている限りは、学校としてはきちんと配慮しなきゃいけないと思います。

「日焼け止め禁止」のルールにより、生徒の健康が害された場合、学校にどのような責任が問われるのでしょうか?

学校の法律問題に詳しい神内聡弁護士は、体育や部活での事故で生徒がケガをした場合、裁判で「安全配慮義務違反」の判決がでるケースもあると言います。

神内聡弁護士:
もし日焼けで生徒の健康が害された場合は、子供の安全に配慮していないと判断される可能性もあります。

(「めざまし8」7月5日放送)