警察庁は、相次ぐ特殊詐欺や闇バイトによる事件の対策として、新たに専従班を作るなど体制を強化するよう全国の警察に指示した。安部元総理の銃撃事件を受けて始まった「警戒の空白を生じさせない」ための組織運営の一環で、人の配置や業務等を見直す推進本部も設置された。
警察庁によると、特殊詐欺や闇バイトによる強盗事件では、SNSを通じてつながり、手を組んだり離れたりを繰り返す犯罪グループの存在が明らかになっている。多くは、匿名性の高い通信手段等を活用して役割分担し、その収益を基に風俗など別の事業を行っている。
そのため警察庁の露木康浩長官は、全国の警察本部長を集めた会議で、これまでの準暴力団等を含むこうした集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と名付け、専従班を作るなどし、実態解明と検挙を進めるよう指示した。
また、安倍元首相の銃撃事件を受けて、特定の組織に属さない「ローンオフェンダー」による襲撃について、警備に限らず、刑事、生活安全など部門の枠を超えて体制を構築し、対策強化をするよう指示した。
一方、先端技術を活用して業務の効率化も図る方針だ。例えば容疑者とともに現場を確認する「引きあたり捜査」については、カメラを利用して遠隔で行う「リモート引きあたり捜査」がすでに一部の県で行われているが、こうした取り組みの拡大を推進する。
また、現場でのトラブルを防ぐため地域警察官がウェアラブルカメラを着用し、職務を確認できるようにするほか、留置施設に収容者の呼吸や心拍を確認出来るセンサーを設置し、異常を感知するシステムの導入も検討。
今後全国の警察で具体的な取り組みを始め、来年4月には組織改正を行う見通しだ。