世界的ギターメーカー「フェンダー」の、世界初となる旗艦店が30日にオープン。4つのフロアからなる“ギターのテーマパーク”が、東京・原宿に登場した。

この記事の画像(13枚)

オープニングセレモニーでは、有名ギタリストの総勢16人による豪華なセッションが行われた。

全員が手にしているのは、世界的なブランド「Fender(フェンダー)」のギターだ。

30日、東京・原宿にオープンしたのが、「フェンダー」世界初の旗艦店「FENDER FLAGSHIP TOKYO(フェンダー フラグシップ トーキョー)」だ。

地下1階、地上3階からなり、1本400万円を超える超高級ギターなど、初心者から上級者向けの様々なギターが取りそろえられる。

また、アンプを使って大音量で試奏できる“特設防音ルーム”も完備されている。

渋谷の楽器店では、ギター購入者の7割以上が10代から20代の若年層で、学校の軽音楽部では、女子が8割を占めるという。

女性のギター人気が高まる中、アパレル商品も販売されている。

寺西未有記者:
こちら、フェンダー初のアパレルブランドのレディース用のシャツです。ギターを弾いてピックが入れやすい設計になっています。

「フェンダー」は、アジアが向こう10年間で最大の音楽市場になるとみている。

なかでも影響力のある東京に旗艦店を構えることで、ブランドを発信する拠点にしたい考え。

日本は米に次ぎ世界2位の音楽市場

「Live News α」では、マーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
ギター好きにとっては、たまらない場所ですよね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
日本はアメリカについで、世界第2位の音楽市場。音楽は耳で楽しむことから入り、自分も楽器を演奏したいという欲求が高まる方も多い。

ギターやピアノなど、世界の楽器市場に目を向けると、メーカー別のシェアで静岡県浜松市ゆかりの企業であるヤマハ、ローランド、河合楽器が、BEST3を占めている。

今回、原宿にフラッグシップ店舗を置いたフェンダー社は世界シェアで4位に位置しており、大きな市場である日本を攻略できると、シェアの拡大をのぞむことができる。

また、日本にはインバウンド需要という追い風もある。日本は訪れたい国の調査で世界1位になっており、世界のギター好きにとっては「ビルまるごとギター」という空間は日本観光とともに、かなり魅力的ではないか。

さらに今回のフラッグシップ店舗ではギターを売ることよりも、ギターの楽しさを訴求することを狙っている。

ギター初心者のギブアップ率90%

堤 礼実 キャスター:
ギタ-の魅力を伝える場所ということでしょうか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
2015年にフェンダー社のCEOに就任したアンディ・ムーニー氏は、ギターを販売するのではなく、「ギターを弾けるカッコイイ自分」あるいは「ギターを通した人のつながり」など、ユーザー体験の提供へとビジネスを転換させている。

そのきっかけになったのが、綿密な顧客データの分析。実はギター購入者の2人に1人は、初めてのマイギターとなるが、ギター初心者の9割は1年以内にギターが弾ける自分を断念してしまうことが分かった。

そこでムーニー氏は、このギブアップ率を10%下げるだけで、ギターの売上は2倍になると予測し、“モノ販売”から“コトの提供”にビジネスを転換した。

堤 礼実 キャスター:
具体的には、どんなことを行ったのでしょうか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
まず、「フェンダー・プレイ」というギターの自習アプリサービスの提供を開始すると、アメリカで大きな反響を呼んだ。

さらに、今回のようなフラッグシップ店舗では、ギター体験の広がりを確保しながらアフターサービスに加え、アンプなどの関連商品の販売によって継続的な収益を期待しているのではないか。

堤 礼実 キャスター:
楽器というと、なかなか敷居が高いイメージがありますが、気軽に触れ合うことができる場所は嬉しいですよね。

こういった旗艦店が、ギターに関心を持つきっかけになったり、好きを追求することにもつながるのではないでしょうか。

(「Live News α」6月29日放送分より)