一部区間で運休が続くJR肥薩線について、国と熊本県、JR九州の3者による検討会議が6月28日に開かれ、熊本県は約6割の地元住民が「鉄道の復旧を望んでいる」というアンケート結果を報告した。この結果を踏まえ、熊本県は「新八代駅への直通」や「SL人吉に代わる観光列車の導入」など肥薩線の活用策を示した。
地元住民6割・高校生8割 鉄道復旧望む
6月28日は国や熊本県、JR九州の担当者による肥薩線の検討会議が非公開で行われ、鉄道復旧調査の中間報告について説明された。
この記事の画像(11枚)この中で、5月に地元の住民約4,000人を対象に実施したアンケート結果が報告され、復旧を望む住民が6割を超えたという。
また、地元の高校生を対象とした別のアンケートでは、約8割の生徒が復旧を望んでいる。このアンケート結果にJR九州は…。
JR九州・松下琢磨 総合企画本部長:
観光のニーズは多いと思うが、日常の使用は少なかったと思う。アンケート結果はしっかりと受け止めたいが、費用や運営費を前提に置かず聞いたもので、これらを含めてしっかり議論していく必要がある
JR九州は、肥薩線の復旧費に約76億円がかかり、被災前に年間9億円の赤字路線だった。そのことから、熊本県が示したアンケートでは相当額の維持費の負担が必要なことが前提に置かれていない点を指摘し、議論が必要とした。
「新幹線の駅に直通」など活用策示す
また、熊本県の中間報告では、肥薩線を持続可能にするための活用策が示された。
活用策には、住民の生活機能を高めるため「新八代駅・くま川鉄道への直通」や「パークンドライド用の駐車場整備」のほか、「引退するSL人吉に代わる観光列車の導入」、「社会科見学や修学旅行の誘致」などが盛り込まれている。
国や熊本県、JR九州は今後、これらの活用策について被災前と同じ水準の鉄道に復旧させるケースや、バスに転換するケースなどと経済効果を比較し、鉄道復旧のあり方を検討していくとしている。
(テレビ熊本)