秋篠宮さまは、5月23日、山口県宇部市で開催された「日本動物園水族館協会」の総会に出席されました。

全国140以上の施設が加盟するこの協会の総裁を務める秋篠宮さまは、おことばの中で、2020年の春には殆どの動物園や水族館が休園を余儀なくされていた事を振り返り、次のように述べられました。

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《秋篠宮さまのおことばより》
このことは、動物園や水族館が、多くの人々にとって心穏やかに過ごせる場所であり、また知的好奇心を刺激する場所であるゆえんと申せましょう。それとともに、各園館がそうした人々の思いに応えて日々工夫を重ねておられることの証左であると考えます。

6年前に白鳥の飼育を再開した「ときわ公園」

通常総会出席後、秋篠宮さまは「ときわ公園」で白鳥の飼育施設を視察されました。

ときわ公園では、昭和32(1957)年にオランダとドイツから白鳥を取り寄せ、放し飼いを始めて以来、多い時には450羽以上が生息。白鳥は宇部市のシンボルとして市民に親しまれてきました。

施設で飼育されているコブハクチョウ
施設で飼育されているコブハクチョウ

しかし、12年前の平成23(2011)年2月、鳥インフルエンザに感染し300羽以上の殺処分を余儀なくされました。

「白鳥慰霊碑」秋篠宮さまはお帰りの際に手を合わせられたという
「白鳥慰霊碑」秋篠宮さまはお帰りの際に手を合わせられたという

その後、市民の要望などもあり、6年前の平成29(2017)年5月に飼育が再開され、繁殖期間中は感染予防として施設に隔離して育てられています。

施設に生息するコブハクチョウ4羽とコハクチョウ1羽を見ながら「このような狭い場所で繁殖させようとする施設は他にありますか?」「やはり狭いところでのペアリング(繁殖)は難しいですか?」などと質問を重ねられた秋篠宮さま。狭い施設での繁殖の難しさについて説明を受け「大変でしょうね」とその苦労を感じ取られたご様子でした。

自然に近い環境を再現「ときわ動物園」へ

翌5月24日は「ときわ動物園」へ。こちらでは平成28(2010)年から、自然に近い環境を再現して動物を飼育する「生息環境展示」を行っており、緑豊かに整備されています。

シロテテナガザル
シロテテナガザル

東南アジアの熱帯雨林に生息するシロテテナガザルが、高さ10mほどの木の間を長い腕を使って移動する様子をご覧になった秋篠宮さまは、「現地はもっと高い樹木ですよね」とご質問。観察しやすいようにあえて低い木を使っているという説明に「確かに伝わりやすいですね」と納得されたご様子でした。

手の標本を使いながら秋篠宮さまに説明
手の標本を使いながら秋篠宮さまに説明

また、手の骨格標本と実物を見比べ「(指の骨が)確かに長いですね」と話しながら自由に動き回るテナガザルを観察されていたということです。

「植物分類学の父」牧野富太郎博士の植物園を35年ぶりに視察

翌週、秋篠宮さまは、総裁を務める「日本植物園協会」の大会出席のため高知市をご訪問。5月30日には「高知県立牧野植物園」を35年ぶりに視察されました。

昭和天皇とも交流があった「植物分類学の父」牧野富太郎博士を記念して、昭和33(1958)年に開園した牧野植物園。

秋篠宮さまは、昭和63(1988)年に訪問したときのことを振り返り「園内を散策して植物を楽しむとともに、同博士が蒐集(しゅうしゅう)した本草書などの説明を受けたことなどを今でも懐かしく思い出します」と話されました。

画面の右端が「ヨコグラノキ」
画面の右端が「ヨコグラノキ」

展示館の中庭には、博士ゆかりの植物が約250種類植えられています。雨の中、博士が越知町の横倉山で発見し命名した「ヨコグラノキ」や東京の自宅で育てていた「ヘラノキ」などをご覧になり、その種類の多さに驚かれたご様子の秋篠宮さま。

植物研究交流センターの化学実験室
植物研究交流センターの化学実験室

化学実験室では、漢方薬などに使う植物エキスの抽出について説明を受け、展示館では博士が描いた植物のスケッチを観察するなど、その業績に触れられました。

植物、そして植物園への関心が今まで以上に高まることを願われた秋篠宮さまです。

(「皇室ご一家」6月25日放送)