自らが生きていく社会を「納得させて変えていく姿勢」を身につけてほしい。愛媛・西条市の丹原高校では、生徒たちが「校則の見直し」について討議した。そこから見えてくる「世界を変える力」とは?
自分で国や社会を変えられますか?
6月5日、西条市の丹原高校の体育館では、全校生徒370人と先生が集合して「校則の見直し」についての討議が行われた。
この記事の画像(25枚)コーディネーターを担当したのは、愛媛を中心に主権者教育などに取り組む「一般社団法人 WONDER EDUCATION」の越智大貴代表だ。
一般社団法人WONDER EDUCATION・越智大貴代表:
選挙権が18歳になってルールを作ることもできるし、ルールを運用しなくてはいけません。ルールを単に知ったり守るだけでなく、作ったり運用していく力が今ものすごく求められてきています
ーー自分は責任ある社会の一員だと思いますか?
ーー自分で国や社会を変えられると思いますか?
これは、越智さんたちが2022年、愛媛県内の高校3年生を対象に行ったアンケート。
「自分を責任ある社会の一員」と答えた生徒の割合が70%を超えていたのに対し、「社会を変えられる」と答えた割合は25%ほどにとどまっている。
越智さんは、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた中、若年層も社会の一員として、さまざまな世の中の課題に「我がこととして取り組む姿勢を身につけること = 主権者としての教育」が必要と考えている。
「前髪」の校則見直しについて議論
生徒代表:
みなさん自分ごととしてとらえて、対立ではなく、対話による「納得解」が得られるように楽しんでいきましょう
今回、見直す校則のテーマは「前髪」。現在の校則は「男子は眉にかからないよう心がける」、「女子は眉を超えない。超える場合はピンでとめる」となっている。
早速、グループに分かれて議論がスタート。
男子生徒:
目かからん位、どの辺まで?
女子生徒:
床です
男子生徒:
床?
先生:
逆に何で目の位置だったらいいわけ?それも考えて理由にしてな
男子生徒:
明るい色とか薄いん…人によって違うやん
女子生徒:
茶色か黒か
男子生徒:
見苦しくならんかったらOKということで。OK?ほな、そうするわ、この班の意見は
先生:
見苦しいって誰が決めるん?
男子生徒:
それは…、もう…、先生が…
前髪だけではなく、髪の色や、もみあげ、細かな髪型についての意見が飛び交った。
「人ごと」ではなく「自分ごと」に
男子生徒:
いろんな学年とか先生と一緒にできて、いろんな意見が聞けたので、いい時間になりました
女子生徒:
ほかの議題でもいろいろみんなで話し合って納得解を作っていくことで、これからもっともっとルールメイキングが大きくなっていけたらいいなと思っています
ーー何でも校則OKだったら?
男子生徒:
西条地域の高校ではツーブロック禁止の高校が多いんで、やっぱりやってみたい気持ちはあります
女子生徒:
韓国風とか、そういう今流行りの服装で登校したいです
丹原高校・谷口大祐教諭:
生徒の対話する気持ち、前向きに物事を考える姿勢が感じられて良かった。生徒たちの視点、先生の視点、いろんな立場に立って意見が出ていたと思う。自分のことだけでなく、人の立場に立って物事を考えるのは大切な力
一般社団法人WONDER EDUCATION・越智大貴代表:
学校や校則について検討できる機会を増やしたり、質を高めたいというのはあるし、同時に地域や、地域の政治はどうなっているのか、もっと大きな国とか世界はどうなっているのかというところまでいける力をつけたい
自分のいる環境を「人ごと」ではなく、みんなが「自分ごと」としてとらえると、世界の風景は少し違って見えてくるかもしれない。
丹原高校では今後、月1回から2回のペースでルールメイキングの場を設け、2024年1月には最終のプレゼンテーションを行い、校則改正の最終結論が出される。
(テレビ愛媛)