日本の男女格差を測る指数が、過去最低の順位となった。

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スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが発表する「男女格差指数」は、経済・教育・健康・政治の4分野で、男女平等の達成率を指数化して国別の順位を出すもの。

それによると、2023年、日本は146カ国中125位。これは2006年の調査開始以来、最低の順位だ。

それだけでなく、G7主要7カ国および東アジア・太平洋地域でも最下位。

特に、女性の政治参画率は、世界最低水準の138位だった。

一方、全体では1位がアイスランド、2位がノルウェー、3位がフィンランドと、北欧諸国が独占した。

他国ランク上昇は女性登用の義務化

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
日本の男女格差、どうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
日本がランキングを下げたというよりも、他の国が上がってきた、と考えるべきではないかと思います。というのも、日本以外の多くの国では、取締役への女性登用を義務付けようという動きが出ているからです。

例えば、アメリカの場合、州ごとに違いがありますが、カリフォルニア州では、女性の取締役登用を義務づける動き、さらにはイギリスやEU、アジアではお隣の韓国が、大企業にのみ女性取締役登用を義務付けようという動きになってきています。

ただ、こうした義務付けは、ファイナンス分野の研究を見ると、一時的に企業価値へのネガティブな影響という”副作用”があることが分かっています。

それでも、世界ではこういった”副作用”に政府が介入して、劇的な変化を起こそうとしています。

一方、日本はマイルドに企業の自主性に任せており、それは差が出て当然だと思います。

堤 礼実 キャスター:
日本の自主性に任せた動きということですが、具体的には。

エコノミスト・崔真淑さん:
実はこれに関する論文を書いているところですが、いま分析してわかったのは、日本の場合、投資家や国が努力目標として女性登用のプレッシャーをかけています。

2018年以降、時価総額の大きい大企業は、平均して女性役員を一人は置く動きになってきています。

ただこのペースでは、「2030年には女性役員30%にしよう」とは言ってはいるけれど、まだ足りないのではないかと思っています。

まずは具体的な数値設定を

堤 礼実 キャスター:
男女格差をなくしていくために、どんなアプローチをとればいいのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
他の国のように、女性取締役登用を義務付けることを日本でもしてはどうかという動きがあります。ただ、これは日本では難しいのではないでしょうか。  

なぜかというと、女性登用義務化となれば「では議員もね」という動きになりやすいからです。日本の今の現状では、ハードルは高いだろうと思います。

今できることは、あくまでも努力目標だけど、そこに対して「女性管理職、女性役員を入れましょう」ではなく、具体的に何人、何%という数値をあてることが重要かなと思っています。

堤 礼実 キャスター:
さまざまな価値観や多様性を受け入れて、平等に評価しあうことが大切だと思います。

男性だけでなく、女性自身も一度、客観的にこの問題への意識を見つめ直すことが求められているのかもしれませんね。

(「Live News α」6月21日放送分より)

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