想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」。

今回のテーマは「自動販売機」。

「買いづらい自動販売機」「ラインアップがナナメ上な自動販売機」「買いたくても買えない自動販売機」まで、ナナメ上な事になってしまっている自動販売機を紹介する。

まずは、最新の自動販売機から。

AI機能搭載の自動販売機

通常、自動販売機は自分のほしいものを選んで買う。

ただAIカフェロボット「rootC(ルートシー)」はコーヒーを飲む頻度や、どんな時に飲みたくなるかなどの簡単なアンケートに答えるだけで、アイス・ホット合わせて約14種類のコーヒーの中から最適なものを提案してくれる自動販売機だ。

AIカフェロボット「rootC(ルートシー)」New Innovations
AIカフェロボット「rootC(ルートシー)」New Innovations
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アプリから時間と場所を指定して注文すると、ロッカーで淹れたてのコーヒーを受け取ることができる。

また今年1月、渋谷駅に登場した採れたての産直野菜を使ったサラダなどを購入できる「SALAD STAND(サラダスタンド)」は、自動販売機に設置されたカメラを通して、通行人や立ち止まった人の性別や年代などの統計データを記録。

SALAD STAND(サラダスタンド)
SALAD STAND(サラダスタンド)

さらに天気や消費期限などを加味して、AIがその時々の最適な価格を設定するという、近未来型の自動販売機となっている。

そんな進歩が止まらない自動販売機。

しかし、世の中には思わず首をかしげてしまうような“ナナメ上な自動販売機”があった。

買いづらい自動販売機

通常、自動販売機は人目につきやすい場所に設置されていて、何が売られているのかすぐ分かるようになっている。

しかし、横浜市青葉区には、なぜか歩道に背を向けて設置された自動販売機があった。

横浜市青葉区
横浜市青葉区

これでは何を売っているか分からず、しかも買うために歩道から草むらに足を踏み入れなくてはいけない。

買わせる気がないのだろうか。

通行人に話を聞いてみると「自販機の横に出入りする扉があるので、こっちの社屋に勤めている方が買いやすいのかなとは思いますけどね」とのこと。

確かに自動販売機の表側の方には柵があり、その向こうには会社のような建物が。

その会社に問い合わせると「近くにコンビニや自動販売機などがないため、すぐに飲み物を手に入れられるように設置しました」という回答があった。

この買いづらい自動販売機の正体は、外で作業する従業員や、近辺で働く工事業者などに向けたものだった。

続いては、10円から買える自動販売機。

ラインナップがナナメ上な自動販売機

愛媛県にある日用雑貨店「岡野商店」の店前に設置されている、ノスタルジックな雰囲気漂う自動販売機。

何が売られているのかというと、折り紙が売られていた。

愛媛・内子町「岡野商店」
愛媛・内子町「岡野商店」

多い時では月に5000円ほど売り上げ、意外と人気だという“折り紙自動販売機”。

10円で購入できる折り紙の王道「手裏剣」や「紙風船」から、1番人気だという30円の「織り姫とひこ星」まで売られている。

さらには50円の「パクパクすずめ」や「ぴょんかえる」まで全部で20種類。

お金を入れて、欲しい折り紙のボタンを押すと、折られた状態で出てくる。

実はこの折り紙、全て岡野商店の店主、岡野千鶴さんが一人で折ったもの。

古くなった、たばこの自動販売機を活用したというが、なぜ折り紙を売っているのか?

岡野商店 店主 岡野千鶴さん
岡野商店 店主 岡野千鶴さん

「今はみんなスマートフォンとかゲームとかで遊んでいるじゃないですか。なので折り紙も楽しいよという気持ちで」(岡野商店 店主・岡野千鶴さん)

岡野さんが大切にしているのは、子供たちに「折り紙の楽しさを伝えたい」という思い。

そのため、値段も子供たちが買いやすい、10円からなのだという。

ちなみに、折る回数が少ないのが10円、手間の掛かるものが30円、広げたりちぢめたりして遊べるものが50円となっている。

続いては、冷やされた100円玉が売られている自動販売機。

100円玉が出てくる自動販売機

千葉・松戸市にある無人自動販売機「フレッシュボックス ぱんぷきん」。

自動販売機の前には「冷やし百円玉はじめました」の登りがあるが、ここでは一体何が売られているのか。

千葉・松戸市「フレッシュボックス ぱんぷきん」
千葉・松戸市「フレッシュボックス ぱんぷきん」

自動販売機を見てみると「冷やし100円玉」の品物が、100円で売られていた。

千円札を入れ「冷やし100円玉」を購入すると、品物の100円玉とおつり900円が出てきた。

千円札を入れると手元には100円玉10枚になる。

これはつまり、両替ということなのか。

実は100円玉が売られているのは農家を営む「齊藤農園」が設置した無人の野菜販売機。

その両隣には100円玉専用のロッカー型販売機があるため、このシステムを思いついたというが、それなら両替機を置けばいいのではと思ってしまう。

千葉・松戸市「齊藤農園」
千葉・松戸市「齊藤農園」

齊藤農園6代目の将暢さんは、「無人だったし(両替機)の機械も結構高額な値段だったので、コストをかけないのはどうしたらいいかなと考えた時に、自動販売機に100円玉を入れてみました」とのこと。

元からある販売機で100円玉を売れば、両替機の代わりになるという発想から生まれたものだった。

ちなみに冷やし100円玉というのは、同じ自動販売機に入っている野菜の鮮度を保つために冷やしているので、勝手に冷えているだけなのだそう。

続いては、買いたくても買えない自動販売機。

リアルすぎる自動販売機!?

福岡市にある一見、何の変哲もない自動販売機。

福岡市
福岡市

しかし、よく見てみるとお金の投入口がふさがれている。

さらにお金の投入口の隣には一般的な自動販売機にはない「押す」のボタンがある。

そこでボタンを押してみると、自動販売機が開いた。

これは自動販売機そっくりに作られた扉。

扉を開けて奥に進んで行くと、飲食店が出現する。

2年前にオープンし、福岡の新しい名物として売り出した「チーズフォンデュ焼き鳥」が楽しめるお店なのだが、なぜこんなトリッキーな扉と取り付けたのか。

福岡市 元祖チーズフォンデュ焼鳥 博多笑助 大手門店
福岡市 元祖チーズフォンデュ焼鳥 博多笑助 大手門店

「街に溶け込もうというのがあって、“隠れ家風”というお店はたくさんあるんですけど、リアルに隠れようと思った」(元祖チーズフフォンデュ焼鳥 博多笑助 大手門店マネージャー・松尾臣也さん)

本物そっくりにこだわり、80万円かけて作ったという特注の自動販売機“風”扉。

でもそのリアルすぎるこだわりのせいで、郵便物や材料が届かないこともあるという。

これから暑くなる季節、たくさん活用したい自動販売機。

みなさんもナナメ上に進化した自動販売機を探してみてもいいかもしれない。

(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年6月13日放送)