約33年ぶりに株価が3万3000円を超え、バブル崩壊後の高値を更新した。     

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アメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを見送るとの見方から、アメリカ市場でハイテク株が上昇。

その流れを受けて、6月13日の東京株式市場は半導体関連株を中心に買いが広がった。

日経平均株価は午後に入って一段と値を上げ、前日より約600円高い、3万3018円65銭で取引を終えた。

終値として3万3000円を超えるのは、1990年7月以来約33年ぶりのことだ。

初めて3万3000円を超えた1989年4月3日

日経平均株価が初めて3万3000円を超えたのは、1989年4月3日。この日は東証の創立40周年の記念式典が開かれていた。

西村洋子記者(1989年4月):
世界一の株式市場には何となく似つかわしくないような提灯飾り。しかし縁起を担ぐ兜町らしいのかもしれません。東証にとっては創立記念日ということで、お赤飯におまんじゅうが職員に配られるんです。

平均株価も今日(1989年4月3日)は3万3000円台に乗せ、終値は先週末より203円39銭高い3万3042円07銭と、4日連続史上最高値更新です。

34年前、1989年12月29日は年末の大納会で、史上最高値の3万8915円87銭と、バブルのピークとなった。

13日に再び3万3000円台に乗せたことで、市場では、今後もいっそう日本に投資資金が集まり株価が伸びるとの期待がある一方で、このところの急ピッチな上昇に警戒感も出ている。

トヨタがPBR=1倍超え

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
また、株価が最高値を更新しましたね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
きょうは、トヨタの株価上昇は意味合いが大きいです。半導体関連、自動車部品などの株価が好調である一方、本丸の自動車株は少し値が重たい動きが続いていました。

投資家が重視するPBRという指標があり、これが1倍未満の場合、株価は割安と考えられますが、今日の値動きでトヨタがようやくPBR=1倍を超えました。

堤 礼実 キャスター:
そもそも、企業にとって株価が高いと、どういったメリットがあるのでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
企業の価値、会社そのものを売り買いする際の値段は、発行株式×株価で示す時価総額で表します。

時価総額が高いと資金調達の幅が広がり、設備投資や企業買収などが有利になるため、まさに競争力の源と言えます。

米国の巨大テック企業は、高い時価総額をウエポン=武器として、世界中の企業を買収して事業を拡大させてきました。

例えば、2021年、米国の決済大手ペイパルが、日本の後払い決済サービスのスタートアップ企業であるペイデイを3000億円で買収しています。後払い決済プラットフォームを海外企業に手渡すことになり、日本の金融業界に激震が走りました。

こうした日本企業の時価総額の低さもあり、東京証券取引所のCEOは、資本効率改善の一つの指標としてPBRの是正要請を出したのです。

東京の時価総額はNY市場の約2割

堤 礼実 キャスター:
その時価総額について、日本とアメリカでは、どれほどの違いがあるのでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
ニューヨーク市場の時価総額は、約3400兆円。これに対して、東京市場は、その約5分の1にあたる、約700兆円に過ぎません。

そこで東証は、プライムの株式時価総額を約850兆円程度に引き上げることを掲げています。このような東証の動きは異例です。

日本企業は時価総額を高めて、それを武器として事業をどんどん拡大させる、そういうストーリーを描く経営が求められています。

堤 礼実 キャスター:
好調が続く株価が、経済の低迷から抜け出す兆しであれば良いですね。

(「Live News α」6月13日放送分より)