新型コロナ先週比134% 4週連続で感染拡大
東京都の新型コロナ感染拡大が続いている。
定点当たりの感染者数は、先週の3・96人に対して今週は5・29人と、先週に比べて134%、約1・3倍になり 4週連続で増加した。
また、都が実施しているゲノム解析では、流行の主体は免疫逃避により感染しやすい「XBB.1.16」などXBB系統が主流となっており、専門家は「新たな変異株の出現やその動向に警戒が必要」と注視している。
後遺症診察は「オーバーフロー」
「数が増えているかについてはですね、数の推移は全くわからない状況なんです。というのは去年の2月以降もずっともうオーバーフロー状態で、毎日、何十人か断るような状況が続いてました」
新型コロナの後遺症患者に対応するヒラハタクリニックの平畑光一院長は、これまで6000人以上がクリニックを受診し、今でも1日100人以上が受診することも珍しくない、と“減らない”後遺症の現状を明かした。
最近の感染者も強い倦怠感 20代女性で「寝たきり」も
また、後遺症の“重さ”について平畑院長は「オミクロンになって軽くなったというようなことがよく言われてますが、後遺症に関して言えばですね、最近罹られた方に関しても、やはりすごい強い倦怠感とかが出てですね、動けなくなるなんてことはよくあるわけですね」と話すとともに、具体例として「全く病気したことない20代30代の女性が、ひどい方の場合はもう寝たきりになって、お尻拭いてもらう生活。ご飯食べることもできず、流動食を口に入れてもらうような、そういう状況」とも。
このような重い症状の患者がヒラハタクリニックだけで約100人いるという。
一方、患者のうち労働者は約3200人で、そのうちの1割にあたる約320人が仕事を失い、復職した人もいるが約1400人が休職になっている、として「労働に強い影響を与える疾患」と改めて警鐘を鳴らした。
いつ治る?後遺症診断書の難しさ
後遺症を会社などに伝えるために重要なのが「診断書」だが、都が医療従事者むけに先月28日に開いた新型コロナウイルス後遺症オンライン研修会では、後遺症の診断書の難しさを指摘する声が上がった。
「この患者さんの状況がいつまで続くのか、書きにくいところがある」
コロナ後遺症は、“完治”がいつになるかわからないケースが多い。ある医師は、1か月ごとに診断書を要求する会社に対し、毎回「本人の状況次第」としか書きようがなく頭を悩ませるという。
「症状以上」書いて欲しがる患者がいる一方で…
「本人が症状以上のことを職場に書いてほしいというのが少なくないのかな」
本当は通勤出来るが通勤禁止と書いてほしい、本当は立ち作業が出来るが出来ないことにして違うところに配置転換をしてほしい、在宅勤務を希望する、など患者が症状以上のことを診断書に書いて欲しがるケースもあるという。
このような場合は、「本人と相談して、書きすぎる配慮を求めすぎる、ということも注意」「診断書に書けば、それがすべて企業に通るわけではないことを本人に注意を促す」との指摘が出された。
その一方で、後遺症が軽く済んだ人と自分の“比較”を気にする患者も多く、その場合は専門機関の検査など客観的な所感を加えることもあるという。
開業医の診断書は使えない…?
「開業医の診断書は後遺症で使えない、という事実が起こって。開業医が下で、大病院が上という状況がまだ残っているんですね」「大きなところからの診断書を出してもらうこともあります」
開業医からは、自らの診断書を企業などに受け付けてもらえなかった、という事例が次々明かされた。
平畑院長も「私のところの診療所の診断書だけでは信用ができない、と。大きい病院の診断書じゃなきゃ駄目だっていうことは確かでもありました。それで大きい病院に紹介状を書いたけど、結局差し戻されてるっていうこともありましたし、精神科の診断書も書いてこい、うつ病じゃないか、というのもちょこちょこありました」
コロナの感染拡大、減らない後遺症、そしてコロナ後遺症とひとくくりにできないほど様々な書き方が求められる診断書、5類移行後も後遺症患者、医療現場の苦悩は続いている。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)