新製品は、iPhoneを超えるインパクトを世界に与えるのかーー。

アメリカのIT大手のアップルは、現実空間とデジタル空間を組み合わせたMR(複合現実)のゴーグル型端末を発表した。

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アップル ティム・クックCEO:
新たなARプラットフォームとなる、革新的な新製品をご紹介します。

ゴーグル型端末の「Apple Vision Pro」をかけると、目の前にパソコンで見られているスクリーンが現れ、現実空間と仮想現実やCGを重ねて映すことができる。

目や手の動きで操作できる
目や手の動きで操作できる

キーボードやマウスの代わりに、目や手の動きや、声だけで操作ができるのも特徴だ。

好きなように画面のサイズや配置を変えられる
好きなように画面のサイズや配置を変えられる

ゴーグルの視界全体がディスプレイの代わりとなり、目の前にあるそれぞれの画面を好きなサイズで配置できる。

ゲームやビデオ通話もできる。
ゲームやビデオ通話もできる。

また、ゲームやビデオ通話も可能になる。

3D映像の観賞、撮影も可能
3D映像の観賞、撮影も可能

さらに3D映像を見たり、撮影することもできる。

ゴーグルに自分の視線を映し出す “アイサイト” 搭載
ゴーグルに自分の視線を映し出す “アイサイト” 搭載

「Apple Vision Pro」のもう一つの特徴として、現実空間で人が話しかけてきた場合でも、ゴーグルをつけたまま会話ができ、ゴーグルに自分の視線を映し出す “アイサイト“ という機能も備えている。

アメリカでは2024年の早い時期に約49万円(3499ドル)で発売し、その他の国では2024年末までに発売予定とのこと。

新型チップ「R1」が課題解決

「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しい、IoT NEWS代表の小泉耕二さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
AppleのMR対応ゴーグル、ワクワクしますね。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
iPhoneによって、我々の生活が大きく変わったように、今回発表したVision Proも、同じようなインパクトを与える可能性があります。

例えば、iPadやiPhoneでは簡単な文章は書けても、複雑な資料の作成となると難しく、こうした作業はPCがやりやすい。

それがソファーに体を預けたり、ベッドに横たわった状態でも、Vision Proのヘッドセットをつけると大きなディスプレイが表示され、視線や音声、あるいはジェスチャーによって、複雑な資料を作ったりすることもできるのです。

堤 礼実 キャスター:
キーボードを叩かずにそういったことができるというのは、どういった仕組みなんでしょうか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
それがデバイスとしての大きな魅力だと思います。従来のヘッドセットの問題点を複数のカメラやセンサー、マイクを駆使して、人の動きを捉える「R1」と呼ばれるセンサーチップを開発することで、技術的に解決しています。

例えば、アプリの選択やブラウザへのURLの入力は、そこに視線を送るだけでフォーカスされる。そんな、直感的な機能が実現されています。

また、手を動かしたり、指を合わせたりするジェスチャーを、ゴーグル下部のカメラでとらえて、クリックなどの動作を正確に取得します。

さらに、これまでのヘッドセットはID/PASSをコントローラーを使って入力していましたが、Appleらしいプライバシーへの配慮からか、このVision Proでは虹彩認証機能を搭載していて、簡単に使えるだけでなく、セキュリティレベルも高いと言えます。

課題を抱えるメタバース業界 数年後に大きな変化か

堤 礼実 キャスター:
いよいよメタバースの世界が、私たちの暮らしの中で広がっていくんですかね。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
Vision Proの没入感については試してみないとなんとも言えないのですが、現在のメタバース業界に関していうと、ゲームはともかく、企業の取り組みとしては、試してはみたがあまり成功したとは言えず、尻すぼみになっているという状況です。

実際、メタ社はメタバース関連事業の大量解雇を行い、今回の発表後、アップルの株価は下がっています。

メタバースの進化には、他にも課題が多く、今回のAppleのデバイス単体で社会が変わるというよりは、これがきっかけとなって徐々に洗練された体験とコンテンツが増えてくることで、数年後に大きな変化が起きてくるのではないか。

堤 礼実 キャスター:
今回発表された空間コンピューター、個人的には、「未来の製品がやってきた!」という感覚でワクワクしています。

今後、リアルの世界とデジタルの世界の境界線がどんどん無くなって、今までできなかった体験ができる、そんな日も遠くないのかもしれませんね。

(「Live News α」6月6日放送分より)