2023年5月29日、四国地方は例年より7日早く、梅雨入りが発表された。しかも梅雨入り早々に警報レベルの大雨になり、これからの本格的な梅雨シーズンに警戒も必要だ。2023年の梅雨の特徴について、フジテレビ「めざまし8」で“あまたつ”でおなじみの天達武史気象予報士に聞いた。

例年より早い梅雨入り…ことしの梅雨をあまたつが予想

天達武史気象予報士:
2022年の「ラニーニャ現象」の名残などからフィリピン沖の海面水温が高く、暖められた大量の水蒸気が日本列島に流れ込みやすく、2023年の梅雨はシトシト雨が降り続くというより、晴れたりザッと激しい雨が降ったり、熱帯の雨期のような梅雨になるかもしれません

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天達気象予報士は、梅雨後半は大雨と猛暑が隣り合わせの「メリハリ型」になると予想し、2023年の梅雨に対するポイントとして、「油断大敵 いきなり豪雨も」「大雨・猛暑が隣り合わせ」「梅雨から台風注意」の3つを挙げた。

天達武史気象予報士:
条件が揃えば台風が発生し、日本列島に近づく可能性があります。梅雨後半は猛暑をもたらすチベット高気圧が勢力を強めるため、大雨と猛暑が隣り合わせ。メリハリ型の梅雨になりそうです。四国の梅雨明けは平年7月17日頃です。梅雨明けまでは大雨への備えをしっかりして、いざというときに行動できるように避難場所の確認をしておきましょう

西日本豪雨から5年

梅雨の豪雨で思い出されるのが、2018年7月の西日本豪雨だ。

停滞した梅雨前線に台風の湿った空気が流れ込んだ影響で記録的な豪雨となり、愛媛、広島、岡山など西日本の広い範囲で甚大な被害が出た。

愛媛県では宇和島市などで土砂崩れが相次いだほか、野村ダム(西予市)の緊急放流などで下流の肱川が氾濫し、合計で33人が死亡(災害関連死含む)するなど、過去にない豪雨被害となった。

降り続く雨の場合、避難するタイミングの難しさ

天達気象予報士も西日本豪雨の教訓を次のように指摘する。

天達武史気象予報士:
(西日本豪雨では)愛媛県内でも総雨量500mm超の記録的な大雨になった所がありましたが、この時の教訓は「降り続ける雨の怖さ」。短時間に降る“ゲリラ豪雨”なら、激しい雨で道路が冠水したり、テレビで放送されたり、実感として分かりやすい。ところが降り続く雨の場合は、避難するタイミングが難しい場合がある

天達武史気象予報士:
その間にもジワジワ川が増水し、最後はたいした雨が降っていなくても記録的な積算雨量で一気に氾濫したり、大規模な土砂災害が発生してしまうことがある

梅雨末期の前線には警戒

愛媛県は、南側が四国山地に守られた地形から過去の台風被害が比較的少なく、“災害が少ない県”と言われていた。2018年7月の西日本豪雨の際も、“梅雨前線は四国まで南下しない”との一部予報もあり、「愛媛は大丈夫だろう」と思った人も少なくなかった。
しかし、中国地方にあった梅雨前線が愛媛まで南下し停滞し、県内全域で豪雨となり、河川の氾濫、土砂崩れによる過去にない被害が出たのだ。

西日本豪雨を境に県民の災害への認識は変わった。特に6月から7月の「梅雨前線に対する警戒」は強く意識されるようになり、あの時のような豪雨がいつどこで降るかもしれない…という思いをどこかで持っている。

シリーズ防災番組で日常の備えを呼びかけ

あの豪雨災害から5年となる2023年、防災への取り組みを改めて意識してもらおうと、テレビ愛媛は、全国的知名度のある「めざまし8」の天達武史気象予報士と、テレビ愛媛の名護谷希慧アナウンサー(気象予報士)出演による防災番組「えひめ防災ナビ」を制作した。

梅雨シーズンの大雨に対する防災ポイントをわかりやすく伝える1分のシリーズ番組で、「ハザードマップを確認しよう!」「家庭での日常備蓄のススメ」「大雨の浸水はここに注意!」など、いまできる身近な防災ポイントを紹介している。

いつ発生するかわからない災害には、日常からできる身近な備えが大切だ。

今回の番組収録は、フジテレビとテレビ愛媛のスタジオをリモートでつないで同時収録するという新たなスタイルで行った。あまたつ気象予報士と名護谷アナウンサーの2人が、東京と愛媛の離れたスタジオでお互いをモニターで確認しながらコメントをつないだ。

この制作スタイルは、フジテレビとローカル局がデジタル最新技術を活用した初めての試みで、今後のコンテンツ制作の可能性が広がるものと期待される。

孤立しないように近所の声かけを

今回の防災番組の収録を終え、天達気象予報士は、防災には“孤立しない”地域コミュニケーションの大切さを強調する。

天達武史気象予報士:
西日本豪雨の時もそうでしたが、災害に遭われる人のほとんどが孤立してしまっています。災害予防は、ご近所さん同士の声かけがとても大切だと思う。なんだかよく分からない人に「避難してください」って言われても、なかなか自分事として捉えられないことが多い。日頃からコミュニケーションをとり、少しの異変でも皆が感じ取れる街づくりが必要だと思います

(テレビ愛媛)

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