今、あるところで活躍する鳥のヒナが、出荷のピークを迎えている。可愛いヒナたちがおいしいお米作りに貢献するとのことだが、その理由を取材した。

マガモとアヒルをかけ合わせることで“アイガモ”

エサをあげると、ピーピー鳴きながら寄ってくるか可愛いヒナたち。これは「アイガモ」のヒナだ。

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ここには、およそ3000羽がいて、生後4日のヒナがおよそ1500羽。他は、その1週間前に生まれたヒナがおよそ1500羽だ。

飼育しているのは、大阪で150年以上“鴨肉”を生産する「ツムラ本店」。手間暇かけて育てられ、刺身でも食べられるこのアイガモは「河内鴨」というブランドで販売されていて、全国の高級料亭などでも使われている。

アイガモはアヒルとマガモの2種類をかけ合わせた種類で、飛べないカモ。なぜこんなにヒナを育てているのか、「ツムラ本店の」社長に聞いた。

(Q.2種類のカモをかけ合わせるメリットは?)
河内鴨ツムラ本店・津村佳彦社長:
血が濃くなるのを防ぐ、それにより病気に強くなり抵抗力もつく。育てるうえですごく大事なこと

(Q.味は主にエサで決まるものなのか?)
河内鴨ツムラ本店・津村佳彦社長:
そうなんです。味は餌と飼育の仕方、解体処理の仕方で決まってくる。品種よりもエサや解体の仕方が大事です

食材・無農薬へのこだわりから再び注目されている「アイガモ農法」

こちらのアイガモ、「ある場所で活躍」しているというのが、お米づくりの現場。アイガモを田んぼに放流することで無農薬栽培に役立つという。

河内鴨ツムラ本店・津村佳彦社長:
田んぼに鴨を放流することで、害虫を食べてくれたり、雑草も食べるので、農業をするにあたって無農薬ですし、“有機農法”に一役買っていると思います

これを「アイガモ農法」と呼ぶそうだが、いま無農薬や化学肥料を使わずに食材を生産することへのこだわりが高まっている中で、アイガモ農法が注目されているそうだ。

河内鴨ツムラ本店・津村佳彦社長:
ここ数年SDGsと言われる中で、環境にも人間にも優しくて、すこし手間はかかるけれども、昔のアイガモ農法が見直されている。若い農家の方も注目している。(Q.田んぼの中を泳ぎまわることで何か良いことがあるのですか?)田んぼの中の水がかき回されて、稲の成長が良くなるんです

飼育場内にも「水場」を用意する理由

Q.コチラの飼育場内でも、“水場”が用意されていて、ヒナたちがちょこちょこ泳いでいます。これが田んぼに放流した時に泳げるための訓練なのですか?

河内鴨ツムラ本店・津村佳彦社長:
そうなんです。生まれたてのヒナは本能で水に入っていくが、これを陸地で飼育してしまうと、いざ田んぼに放流した時に沈んでしまう。だから生まれた時から水の中に入れて、お尻から油を出して、それを体中の毛に塗って沈まないようにしている…。それを本能的にやっている

Q.出荷のピークはこれから迎えるのか?

河内鴨ツムラ本店・津村佳彦社長:
先週、先々週位からアイガモのヒナたちの出荷ピークを迎えていて、だいたい6月末までに全国の田んぼへ送られます

若い農業従事者からも注目を集めているというアイガモたち。「アイガモ農法」により、この秋には環境にも健康にも良くて、おいしいお米がたくさん作られることになりそうだ。

(関西テレビ「newsランナー」6月1日放送)

関西テレビ
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