コロナの5類移行で戻ってくるブライダル需要を見込み、晴れの日を演出する新提案が結集した。

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大きなリボンがかわいらしいドレスや、音楽に合わせ光を放つペンライト。

東京ビッグサイトで、31日まで開催の「ブライダル産業フェア2023」。

新型コロナの5類移行を商機と捉え、約130社の商品やサービスが展示された。

ブライダル産業新聞社・権藤咲デスク:
2022年の秋ぐらいから結婚式の数が戻ってきた。コロナも5類移行になり結婚式の数が増えると予想しているので、ブライダル業界を少しでも盛り上げていければと。

Mトワルの「Hope Weddings」は、数回レンタルされたものをアップサイクルした、障がいがある人向けのドレス。

これまでのドレスは、車椅子に絡まってしまうなどの問題があったが、下の部分をカットしつつも、プリンセスラインを残すなど、華やかさをキープしながら、軽やかに動ける作りに仕上げている。

ドレスを試着した人:
後ろとか横とかにチャックが付いていたり、ボタンでとめていたりするのですごく着やすいです。

一方、今年初出展の企業も多く見られた。

堤怜奈ディレクター:
こちらのガラスのようなオブジェ。実は、氷でできているんです。

2024年に創業100年を迎える老舗製氷メーカー小野田商店が作る、氷のアート商品「氷華」は、今後結婚式で提供をしていく予定だ。

小野田商店製氷冷蔵部 氷華スタジオ・鈴木千栄子さん:
うちの氷は透明度が売りになっている商品なんですけど、その透明度というのが、結婚の純潔というイメージにはぴったりかなと。

この他に、FUNDARDによる「結(ゆ)いぐるみ」というサービスも。

専用のサイトから、目・鼻・口など色々なパーツを組み合わせることで、オリジナルのぬいぐるみが作成できる。

試しに、堤キャスターと今湊キャスターで作ってみると、ご覧の通り。顔のパターンは、なんと334億以上にのぼるという。

一方、“香り”によって日常でも幸せな記憶を思い出せる国内初の結婚式演出サービス「Sawaday Tsumuka」は、芳香・消臭剤ブランド「Sawaday」を手がける小林製薬によるもの。同社が香りの研究と開発を続ける中で得た技術を用いて作った。

堤怜奈ディレクター:
花とシトラスの上品な香りがします。

3種類の香りと色を自分好みにカスタマイズでき、1年後には、フラワーシャワーで使用した香りと同じ香りのディフューザーを自宅に配送する。

映像やモノだけではない、“新たな思い出”の形として当時を振り返ってほしいとしている。

小林製薬 芳香・消臭剤カテゴリー 平川宣幸課長:
香りというのは五感の中で最も記憶と結びつきやすいと言われていて、1年後に同じ香りを感じてもらうことで、2年目に夫婦生活、これからも新たな気持ちで家庭生活円満・家庭内幸福度の向上というところに貢献したい。

コロナ禍で“香りの消費”に変化

「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の、鈴木智子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
香りのブライダル、どうご覧になりますか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
香りをコミュニケーションと考える欧米では、結婚式に香りは欠かせません。そのため、欧米のフレグランスブランドは、結婚式の香りを選ぶサービスに力をいれています。

一方、こうした試みが日本で少ない背景には、日本人は匂いのしない無臭を好む傾向があります。

そのため、日本は香水市場の拡大に苦労する「香水砂漠」と評されています。

今回の結婚式の記憶を呼び覚ますスイッチとして、香りを使うコミュニケーションは意欲的なビジネスと言えます。

堤 礼実 キャスター:
日本で香りのビジネスを成功させるためのポイントは。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
コロナ禍により外出する機会が減り、自宅を快適な空間にするため、アロマなどを楽しむ人が増えたとされ、香りの消費の仕方が変わりつつあるように思います。

この機会に、香りのビジネスを成功させる鍵は、香りを身に着けるのではなく、香りで空間を演出することかもしれません。

日本で香りの空間演出を行っている先行事例として、ラグジュアリーホテルがあります。その場所やホテルのコンセプトに合わせたオリジナルの香りで、記憶に残る旅を演出しています。

結婚式に寄り添い顧客関係を深める

堤 礼実 キャスター:
香りで記憶に呼びかけるってとても素敵ですよね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
小林製薬の経営理念は、「我々は、絶えざる創造と革新によって、新しいものを求め続け、人と社会に素晴らしい『快』を提供する」です。

この素晴らしい「快」は、気分爽快など、心地良さを表す「快」という字をあてています。
結婚式という特別な日を香りで演出することは、日本ではまだ馴染みのない新しい体験の創造をリードするところが、小林製薬らしいですよね。

また、結婚式という「晴れの日」に小林製薬が寄り添うことで、カスタマーエンゲージメントを構築することもできます。すると、お店で小林製薬の製品を選んでもらえる可能性が高まるのです。

顧客には、心地良さを表す「快」を提供して、ビジネスとしての「解」になるのか、注目していきたいです。

堤 礼実 キャスター:
五感の中で嗅覚は最も記憶とのつながりが深いと言われています。確かに、香りで過去の記憶がバーッと蘇ることも生活の中でもありますよね。

結婚式という特別な1日の記憶を香りに残すことで、何年、何十年と経っても、その日の新鮮な気持ちを思い出せたらとても幸せだなと思います。

(「Live News α」5月30日放送分より)