日経平均株価が、約1年8カ月ぶりに3万円の大台を突破した。

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17日の東京株式市場は、取引開始直後から買い注文が先行し、平均株価は2021年9月以来、約1年8カ月ぶりに3万円を超えた。

外国人観光客の増加で百貨店株が買われるなど、コロナ禍からの経済回復が遅れて本格化した日本企業の株は魅力的で、海外からの買い注文が膨らんだ。

平均株価は1年8か月ぶりに3万円台突破
平均株価は1年8か月ぶりに3万円台突破

平均株価は午後に入って一段と上げ幅を拡大し、3万円を超えて取引を終えた。

ただ、アメリカの債務問題などへの警戒感は消えたわけでなく、市場関係者の間では「世界的な景気後退の懸念は残っている」との慎重な見方も出ている。

成長見込める企業株上昇は健全

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
株価の3万円台への回復、どうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
225社の平均値である日経平均だけでなく、プライム上場企業全てを対象としたTOPIXも、16日、バブル後の高値を更新しています。

だからと言って、マーケット関係者に高揚感はあまりなく、落ち着いて相場を見ています。

17日の値動きを見ても、33業種のうち、業種の半分が上昇・半分は下落していますので、全ての業種が全面高ではないのです。こうした動きの方が、安心感があります。

堤 礼実 キャスター:
安心感があるとは、どういうことなんでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
バブル的な株価の上昇ではなく、将来の成長が期待できる企業の株価が上がっています。この方が市場としては健全です。

このところ日本株は割安感があり、海外投資家からの買い注文が続いてます。その代表が、ウォーレン・バフェット氏で、割安で持続的な成長が見込める企業に長期投資する手法を得意としています。

バフェット氏の投資条件にあうのが「5大商社」で、株式保有比率をそれぞれ高めて、9.9%まで買い足す可能性を示唆しています。

また、バフェット氏は、「10年、20年と続くようなビジネスを探している」とも話されています。実際に、10年、20年続くビジネスを行っている企業の株価は上昇傾向にあります。

例えば、この物価高を受けてコスト上昇分を価格転嫁しても、独自性のある商品の魅力で、消費者に支持されているような、味の素、日清食品、ニッスイなどの食品関連企業は、いま、市場でも手堅い値動きをしています。

“稼ぐ力ある企業なのか”問われている

堤 礼実 キャスター:
今後の株価は、どうなっていくのでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
東京証券取引所は上場企業に対して、PBRと呼ばれる株価の割安・割高を示す指標の改善を求めていて、機関投資家の方とお話していても、「日本の本気度を示す動きだ」と期待を寄せていました。

さらに、アナリストとして付け加えるならば、小手先の数字を改善するのではなく、稼ぐ力を付ける企業に本気で変わろうとしているのか、これが問われています。

この期待を裏切らないように、資本効率是正のアクションプランなどを実行して、それを分かりやすく投資家にアピールする必要があります。

堤 礼実 キャスター:
私たちが暮らしの中で景気の回復を実感する機会はまだ少ないかもしれません。日本が成長していくためには、長期的に企業が成果を出し続けることが求められています。今回の株価の上昇が、日々の生活が豊かになる一つの兆しであればいいなと思います。

(「Live News α」5月17日放送分より)

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