16日、政府は大手電力7社が申請していた、家庭向け電気料金の値上げを了承しました。
7社のうち、値上げ幅が最も低いのが東京電力の12.9%、最大が北陸電力で約40%となっています。

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これは、東京電力を利用している標準的な家庭で、約900円/月の値上がりとなります。
電力各社は今週中の認可を目指し、6月から値上げする見通しです。

年金暮らしを直撃…夏は“熱中症”の危険も

「めざまし8」が訪れたのは、東京・新宿区にお住まいの駒村洋子さん(80)のお宅。

現在は夫の正満さん(84)との2人暮らし。月にもらえる約11万円の国民年金で生活費をやりくりしていますが、生活費や光熱費を引くとほとんど手元には残りません。

現状でも、生活費や光熱費を引くと手元には467円しか残らない
現状でも、生活費や光熱費を引くと手元には467円しか残らない

今後電気料金が値上げされると、貯金を崩すか、節電や食費を切り詰めるなどして、出費を抑えていくしかないといいます。

月々の光熱費を記録して家計を管理しているという駒村さん。去年夏の電気料金を見せてもらうと…。

駒村洋子さん(80):
順々に上がっていって8000円くらいがピークかな。エアコン使うからでしょうね。(エアコンがないと)もういられない…だって風もちゃんと入ってこないし、絶対ダメ。

7月19日から8月17日の、一番暑い時期にかかった電気代は8332円。

電気代のうちエアコンが占める割合は3割から4割とも言われています。
駒村さんは、夫が熱中症になりやすく、熱中症対策のためエアコンを使用するので、おのずと電気料金が高くなってしまうのです。

駒村洋子さん(80):
いま何でも電気だから、電気止まっちゃったら、ご飯も食べられないよね。冷蔵庫もダメだし、電気は大切だけど上がるのはね…大変負担です。

なぜこのタイミングで値上げ?値上がりはいつまで続くのか

これから気温も上がり、エアコンの使用も増える季節。なぜこのタイミングで値上げに至ったのでしょうか?
電気料金に詳しいエネルギーアナリストの前田雄大氏は、その理由をこう話します。

エネルギーアナリスト 前田雄大氏
エネルギーアナリスト 前田雄大氏

エネルギーアナリスト 前田雄大氏:
実は、元々値上げの申請自体は、去年の後半から電力会社が政府に対して行ってきましたが、その値段が果たして適正なのかというところで、決定に至るところまで少し時間を要したと。
結果的に暑くなるタイミングに時期的になってしまいました。

Q.今後、電気代はどこまで値上げされるのでしょうか?
エネルギーアナリスト 前田雄大氏:

元々、化石燃料の高騰であったり円安であったりが主要因になったところがあります。
化石燃料の高騰に関しては、去年の夏ぐらいが一番高かったと思いますので、今だいぶ調達のところに関しては落ち着きを見せてきています。
一番高かった時期は脱しつつあるというところで、電気料金への転化ということで、少し落ちつきを見せ始めるかなと思います。

しかし、一概に安心はできないともいいます。

エネルギーアナリスト 前田雄大氏:
ただ、今全体として「脱炭素時代」という形になっていますので。エネルギー事情がかなり世界的に変わってきていて、需要と供給のバランスという所も変わってきている中で、どうしても化石燃料の生産というのは減少していく傾向に、投資額で言えば減ってきています。エネルギー需要が伸びていくとなりますと、化石燃料の需給バランスの中で取り合いみたいな事も起きて、“高コスト構造”というのは続くかもしれないというのが私の見立てです。

(めざまし8 5 月17日放送)