2023年5月5日、北陸地方を最大震度6強の地震が襲った。建物が倒壊した地域に共通したのが「揺れやすさ」だった。地域の揺れやすさを知り、平穏なときに対策をすることが減災につながると専門家はいう。

被害が大きかった場所に共通点

国土交通省が平成17年に発表した「揺れやすさマップ」 地震が起きた時に揺れが大きくなると予想される地域を色で示したもの。
5月5日の石川県の地震で、建物の倒壊が起きたのは珠洲市の宝立町・三崎町・正院町だった。その宝立町と正院町は周辺と比べて「揺れやすい」とされている地域だったことが分かる。

出典:内閣府 揺れやすいとされている地域で被害
出典:内閣府 揺れやすいとされている地域で被害
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東京大学大学院の客員教授で防災行動や危機管理の専門家・松尾一郎さんは「地震の揺れの大きさは、地盤条件で決まる。湿地帯だったところや河川の近くにあれば、地盤が緩いので揺れやすい。今回の能登の地震で被害があったところは、揺れが大きいと予想されていた。古い木造家屋だったということもあるが、揺れの大きさが影響したと思う。この”揺れやすさマップ”が、それぞれの対策につながっていく」と話す。

防災マイスターの松尾一郎さん
防災マイスターの松尾一郎さん

福島県では市独自のマップも

2022年3月の地震で震度6弱を観測した福島県伊達市。独自にマップを作り市民に防災意識の向上を呼びかけている。

福島・伊達市独自の「揺れやすさマップ」 市民の防災意識向上に一役
福島・伊達市独自の「揺れやすさマップ」 市民の防災意識向上に一役

町内会長を務める山田陽茂さんは、自主防災組織にも所属。大きな揺れへの対策は「日頃からの備えしかない」と考えている。東日本大震災で食器棚が倒れた教訓から、突っ張り棒を設置し、2022年と2020年の地震では被害はなかった。

東日本大震災の教訓から突っ張り棒で食器棚を固定
東日本大震災の教訓から突っ張り棒で食器棚を固定

自宅にはヘルメットやトランシーバーなど、地域住民の避難誘導に使う道具も用意。築・約40年の自宅はこれまでに3度、基礎や柱などの補修を行い、耐震性を高めてきたが「対策にやりすぎはない」とも感じている。

町内会長として住民誘導のための道具も準備
町内会長として住民誘導のための道具も準備

山田陽茂さんは「他人事じゃなくて、自分の立場で。例えば石川県であった今回の地震も、地元であり得ることだから。一人ひとりが注意して対応する、備えをすることが一番考えていかなくてはならないことだと思う」と話す。またコロナ禍でできなかった自主防災組織の訓練を今後再開するなどして、地域を巻き込んだ備えを進めていく考えだという。

山田陽茂さん「自分事として考え備えを。対策にやりすぎはない」
山田陽茂さん「自分事として考え備えを。対策にやりすぎはない」

平穏なときこそ対策を

防災の専門家・松尾一郎さんは「日本に住んでいる以上、どこでも揺れる。過去の地震の揺れをもう一度思い出して、室内の家具固定や寝室の飛散防止対策など点検してほしい。備えや対策は、平穏な今しかできない」とすぐに対策を始めることが重要と話す。

被災してからでは遅い防災対策。住んでいる地域の特性を知り、過去の被害を参考にすぐに対策を始めることが大切だ。

防災マイスターの防災百言「地震 揺れから守る 転倒・飛散防止」
防災マイスターの防災百言「地震 揺れから守る 転倒・飛散防止」

(福島テレビ)

福島テレビ
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