日経平均株価が値上がりし、2023年の最高値を更新した。

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5月9日の東京株式市場は、前日のニューヨ-ク市場でハイテク関連株が買われた流れを受けて、半導体関連株で買い注文が先行した。

また、企業の決算発表が本格化するなか、業績が好調な銘柄にも買いが集まり、平均株価の上げ幅は一時300円を超える場面もあった。

平均株価は約1年4カ月ぶりの水準となる29242円82銭で取り引きを終え、2023年の最高値を更新した。

好決算の間接的背景に米IT企業のリストラ

「Live News α」では、経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
9日の株高、どうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
米国株の底堅さが、当日の日本株の強さに繋がっています。

米国でハイテク企業の好決算が相次ぎ、GAFAを含むハイテク企業が多く上場している、ナスダック総合指数が堅調です。

この好決算の背景にあるのがリストラの効果です。2022年の後半に、アメリカで景気後退の懸念が生じると、IT企業の多くが、大規模なリストラに踏み切り、そのコストカットの効果が業績を押し上げたのです。

堤 礼実 キャスター:
日本企業の場合、コストを削る部分がなくなってから、やむなく雇用に手をつけるケースが多いと思うのですが、アメリカは違うんですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
IT企業の多くは需要の減少を先読みして、業績へのダメージを抑えるために、いち早くリストラを行いました。

リストラというと、雇われている人に厳しい、と思われるかもしれませんが、アメリカの雇用のデータを見ても、全く悪化していないのです。むしろ、強い雇用のデータが続いています。

つまり、IT業界でリストラにあった人は、次なる職はすぐに見つかっているということです。まさに、雇用の流動化です。

また、特にアップルの株価上昇は、相場全体の雰囲気を良くしています。

アップルは中国経済の再開の恩恵を、需要・生産の両面でメリットを受けています。

さらに、最大900億ドルの自社株買いを発表しました。これは発行済み株式の3.3%に相当します。四半期の配当金について4%の増配を発表するなど、マーケットが評価する施策を打ち出しています。

東京市場株高にバフェット氏の存在

堤 礼実 キャスター:
気になる今後の日本の株式市場については、いかがですか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
9日の東京市場の株高は、アメリカの要因だけではありません。

連日報道にあるように世界の投資家バフェット氏が、日本への投資に意欲的です。このバフェット氏のスタンスが、間違いなく世界投資家の視点を日本に向かわせています。

日本には、魅力的にもかかわらず、割安で放置されている企業が数多くあります。いま、日本に訪れているチャンスを、特に企業経営者の皆さんは逃さないで欲しいです。

堤 礼実 キャスター:
海外の投資家からも日本企業への関心が、いま高まっているということですから、ここでしっかりとアピールすべき点をアピールして、今後の成長への弾みになればいいなと思います。

(「Live News α」5月9日放送分より)

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