ワークマンは、社外取締役にYouTuberの女性を任命すると発表した。

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ワークマンは、キャンプ用品などを紹介するユーチューバーの「サリーさん」こと、濱屋理沙さんを2023年5月8日付で社外取締役に内定した。

2018年、濱屋さんが溶接工用に作られたワークマンのヤッケを、「キャンプにぴったり」と紹介したところ、ヤッケは即完売した。

さらに、濱屋さんのアドバイスで女性向けにモデルチェンジすると、年間販売数3000着だったヤッケが累計販売数40万着の大ヒット商品となった。

この大ヒットをきっかけに、「#ワークマン女子」が誕生した。

上場企業がYouTuberを社外取締役に抜擢するのは異例で、就任後は女性消費者としてのアドバイスを求めるという。

消費者視点で経営活性化へ

「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
「キャンプ・ユーチューバー」として知られる方の社外取締役への就任、いかがですか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
経営のプロたちにはない視点を、取締役会に持ち込んでくれるのではないでしょうか。

ワークマン製品のファンであったサリーさんのアドバイスを受けて製品化された、女性でも着られる可愛い「コットンキャンパー」は、40万着を超えるヒット商品となりました。

プロが着る作業服で培った機能性は、女性にも支持されるという「気づき」のインパクトは大きく、のちに、「#ワークマン女子」の誕生につながりました。

これはまさに、商品開発にファンを巻き込み消費者と企業が手を携えて、新しい価値を創り出したケースです。

企業の常識が、世の中から見ると実はそうでないということや、その企業は気づいていないけれども、外から見ると違う視点があります。

堤 礼実 キャスター:
鈴木さんご自身も、ローソンやスタンレー電気で社外取締役をされていますが、どのようなことを心がけていますか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
私自身は大学でデザインシンキングとマーケティングの研究・教育を行っており、その知識を生かして、ユーザー視点の新しい価値創造に向けた提案をしています。

ただ、社外取締役の最も重要な役割は、ガバナンス、つまり経営の監督です。

社内のしがらみにとらわれない立場で会社の将来を見据え、企業の持続的成長に向けた提言を行うことを心がける必要があります。

堤 礼実 キャスター:
社外取締役は、その方ならではの提案とともに、少し引いた視点から、その企業を見ることが求められるんですね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
社外取締役は「非業務執行」という立場なので、過度に細かい業務執行に立ち入らないことが大切です。

社外取締役はある分野の専門家であることが多いので、専門分野については細部に目がいってしまいがちですが、執行は執行側に任せなければなりません。

社外取締役には、別の次元、別の角度からの発言が求められています。

取締役会のダイバーシティが高まることで、経営も活性化することが期待できます。ワークマンの今後が楽しみです。

堤 礼実 キャスター:
製作者とはまた違った角度からその製品を愛し、よく見ているのがファンですよね。いわゆる、ファン代表の声を経営に取り入れていく今回のケースは素敵なものだなと思いました。

(「Live News α」5月8日放送分より)

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