日経平均株価が、約8カ月ぶりに2万9000円台を回復した。

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週明けの平均株価は、4月最終週末より266円74銭高い2万9123円18銭で取引を終え、2022年8月以来、約8カ月ぶりに2万9000円台を回復した。

高値の背景には、日銀が2023年4月28日の金融政策決定会合で、金融緩和の維持を決めたことがある。

日米の金融政策の違いが意識され、東京外国為替市場では1ドル=136円台後半まで円安が進んだため、輸出関連株に買い注文が集まった。

企業は“稼ぐ力”高めPBR改善を

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
株価の回復、馬渕さんの目には、どのように映っていますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
ゴールデンウイークも始まり、旅行や買い物など、個人消費が盛り上がる中、「為替」と「米国株の堅調さ」も日本株の追い風になっています。

さらに、見逃せない動きとして、2023年に入ってから東京証券取引所は上場企業に対して、「PBR(株価純資産倍率)」と呼ばれる株価の割安・割高を示す指標の改善を求めています。

上場企業は資本コスト、つまり、投資家の期待リターンに応えなさい、と東証がメスを入れたことで、日本株への期待が高まり、海外投資家からも注目されています。

堤 礼実 キャスター:
企業は株価が上がるように努力しなさい、ということだと思うのですが、具体的にはどのような対応があるのでしょうか。 

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
自社株買いをするとPBRが是正され、数字の上ではPBRの改善につながるため、これが今、増加しています。

ただ、割安是正の本来の目的は「稼ぐ力を高めること」です。その本質は、企業のキャッシュの使い方や、事業ポートフォリオのあり方を問うことです。

米銀経営不安とFRBに注視

堤 礼実 キャスター:
ただ、アメリカの銀行の経営破たんのニュースもありましたが、株の世界では、こういった市場の環境に左右される面もあるかと思います。こちらについては、いかがですか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
一つは、米国の市況が大きく日本に影響を及ぼします。5月1日、「ファースト・リパブリック・バンク」の経営破たんが伝えられています。

JPモルガン・チェースがファースト・リパブリックの全預金を引き受けて、資産の大半を買収すると発表したことで、影響は限定的と見られています。

こうした米国の中堅銀行の経営不安が、世界の金融システム全体に影響を及ぼすことがあるのか、注視する必要があります。

また、5月2日、3日、米国のFRBで金融政策を決める会議が開催されます。ここでの米国の利上げ幅は0.25%に引き上げとなり、政策金利は5.25%になる見通しです。

ここでマーケットが想定していない決定事項やメッセージが出てくると、値動きが大きくなる可能性があるので、こちらも注意が必要です。

堤 礼実 キャスター:
引き続き市場の動きに注目ですね。

(「Live News α」5月1日放送分より)

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