最後の専門家会議でも「感染拡大が続く」
新型コロナの5類移行にともない、最後となった東京都新型コロナウイルスモニタリング会議だが、「当面は感染拡大が続く可能性が高いと思われる」との分析が示された。

感染状況を示す新規陽性者数、発熱等相談件数、検査の陽性率3つの指標はすべて“悪化”。「感染症法上の5類への移⾏後も、換気の励⾏、場面に応じたマスクの着用などの、基本的な感染防止対策を継続する必要がある」と最後まで警鐘が鳴らされた。
パーティションの保管を呼びかけ
「パーティションについてです。これについては資源の有効活用、有効利用の観点から、できるだけ保管をお願いします」
最後となった都の対策会議で、小池知事はパーティションの保管を呼びかけた。
事業者からは「保管場所がない」などの声も上がっているなか、都庁にも大量のパーティションがあり、保管にはかなりの場所を要するとみられていた。しかし、感染拡大への懸念や再拡大した際に再び出すのが“面倒”として「設置を続ける」という職員も多く、保管というより継続使用となりそうだ。

また、都は保管が難しい場合はリサイクル業者などに問い合わせてほしいとしているが、透明なパーティションはアクリルかプラスチックかなど材質の見極めが難しく、材質ごとにリサイクルの扱いが異なるという。リサイクルの難しさを指摘する声もあり、“リサイクルルート”を早急に作る必要があるのではないか。
5類移行後も続く対策は?食費はタダ→1食210円も
「カウント方法が変わるから数字に表れづらい」など不確定要素が多いものの、「感染者数は絶対増える。ゴールデンウィーク後も増えるだろう」と、都庁幹部や関係者は一様に話す。
都はこれまでのフォローアップセンターなどの代わりに、最大750回線の新型コロナ相談センターを新たに開設。かかりつけ医のいない人、自宅療養中の体調急変時の健康相談、医療機関や往診医の紹介などをするという。

担当者らが口々に言うのは「ハイリスク層を守る」だ。高齢者施設への即応支援チーム、一人住まいの高齢者や妊婦などを対象とした宿泊療養施設などのほか、介護度の高い高齢者を受け入れ救急患者にも対応する「高齢者等医療支援型施設」を継続する。
この施設は、病院の人手不足や病床ひっ迫を緩和するために作られたもの。これまで通り医療費はかからないが、「食費」はかかるようになる。年金収入155万円以下は1食210円、年金収入80万円以下は1食100円で、生活保護世帯は自己負担なしだという。
1200日に及ぶ戦いも…
「都内で初めてコロナの感染者が報告されたのは、令和2年1月24日のことでした。1200日にも及ぶコロナとの長い闘いも転換点を迎えております」

小池知事はこう話しつつ、“激変緩和”として9月末までなど当面は対策を継続する。
感染力の強い変異株が増える中、対策が終了する“リアルな転換点”のころには、感染はどうなっているのだろうか。そして、それまでにコロナ禍で受けた経済的・社会的ダメージをどう回復していくのか、都のかじ取りは容易ではない。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)