ドラッグストアの棚からたばこが消えつつあるようだ。ドラッグストア最大手のウエルシアホールディングスが、2026年2月までに、全店でたばこ製品の販売を終了すると発表した。

ウエルシアホールディングスは、ウエルシア薬局、コクミン、ププレひまわりなど全国で約2700店舗のドラッグストアを展開し、このうちの約2000店舗でたばこを販売している。2026年の2月までにたばこの販売を順次終了していき、また2023年3月1日以降オープンの店舗については、たばこの取り扱いはしていないということだ。

ウエルシア薬局(画像提供:ウエルシアホールディングス)
ウエルシア薬局(画像提供:ウエルシアホールディングス)
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ウエルシアホールディングスのたばこの販売額は年間で約200億円に上り、グループの売り上げの約2%を占めているという。取りやめた理由については、「健康な暮らしを提供する」という企業理念に反するためとしている。

ちなみに、日本人の喫煙者の割合は厚生労働省によると、2019年は男性が27.1%、女性は7.6%。2009年の男性の38.2%、女性の10.9%と比べて減少している。

現在習慣的に喫煙している者の割合の年次推移(画像提供:厚生労働省)
現在習慣的に喫煙している者の割合の年次推移(画像提供:厚生労働省)

たばこ離れが進んでいるとはいえ、約200億円の売り上げがなくなることは痛手のようにも思える。では、この減少した分をどうカバーしていくのか?また、取りやめの反響はどうか?

ウエルシアホールディングスの広報担当に詳しく話を聞いてみた。

企業理念は「健康な暮らしの提供」

――たばこの販売を取りやめにした理由は?

ウエルシアグループでは「お客様の豊かな社会生活と健康な暮らしを提供します」の企業理念のもと、「ウエルシア サステナビリティ基本方針」、および「ウエルシア グループ健康宣言」に沿って取り組んでいる中で、「地域No.1健康ステーションの実現」を目指しており、今般その一環としてたばこの販売を取りやめることといたしました。
 

――これまでにドラッグストアがたばこを販売することに反対の声はあった?

当社に限定したことになりますが、今般の販売の取りやめの前に社外よりたばこの販売について反対するお声を多くいただいたことはありません。
 

――たばこ販売取りやめ発表後の反響は?

たばこの販売のとりやめにつきましては、概ねご理解をいただているものと考えておりますが、引き続き、丁寧にご説明するよう努めてまいります。


――喫煙者から、反対の声がありそうだが…

今まで当社の店舗において、たばこをお求めいただいておりましたお客様にはご面倒をおかけいたしますが、健康な社会の促進を目指す当社の方針について丁寧にご説明をしたく考えております。

従来の商品の充実やカウンセリングを重視した接客

――たばこの売り上げがなくなることについて、どう考えている?

売上が減少することよりも、当社が重要視している健康な社会の促進のための一助となることに意義を感じております。


――たばこ購入をきっかけに来店するお客がなくなりそうだが…

お客様のご来店の機会が一定数減少する可能性も見込まれますが、従来販売しております医薬品、食品、化粧品をはじめとした商品をさらに充実させ、カウンセリングを重視した接客や、調剤機能を併設した店舗のいっそうの出店、深夜営業等を行うことで、お客様に引き続きお選びいただけるよう努めて参ります。


――会社の中で、たばこに関する取り組みはしている?

勤務中の喫煙は本社・店舗ともに禁止しております。また、禁煙の取組として、加入している健康保険組合と協働で禁煙プログラムを無料で提供しております。

お店の様子(画像提供:ウエルシアホールディングス)
お店の様子(画像提供:ウエルシアホールディングス)

ウエルシアホールディングスでは、たばこの売り上げよりも健康な社会の促進を重視しているということだった。喫煙者はこうしたことをきっかけに、たばこの購入と自身の健康について一度考えてみるのもよいかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。