都心の住宅街で目撃される野生動物。いつの間にか家の中に住みつき、思わぬ被害に悩む人も絶えない。
騒音で「眠れない」 3年以上前から“定住”か
2022年11月、動物専門の駆除業者が訪れたのは埼玉県久喜市にある一軒家。

依頼したのは、この家に住む80代の女性だ。
依頼者(80代女性):
お盆前はもうバターン、ドタドタって、中廊下を歩いている(足音が)。だから眠れない。神経的に参っちゃうから、これは相談してなんとかしないとダメだなって。一回見てもらおうと。

半年ほど前から、天井裏を何かが歩くに悩まされているという。音の正体を探るために屋根の上を見てみると、そこには…。

動物駆除業者 神原正彦さん:
これは…この辺はハクビシンかな。これ足跡です。

ハクビシンと見られる足跡があった。その特徴は?

動物駆除業者 神原正彦さん:
特徴は、指が猫と違って5本。人間と一緒で。
ハクビシンとは、額から鼻にかけての白いラインが特徴的な、東南アジアや中国南東部が原産の外来生物。
このハクビシンが家に住みついているのか?音がしていた天井裏に登ると、何かを発見した。

動物駆除業者 神原正彦さん:
あれ全部、フンですね。
取材班:
あそこにたまっているもの?
動物駆除業者 神原正彦さん:
何年も前からの量ですね。3~4年は経ってると思う。

3年以上前からたまり続けていたとみられる大量のフンがあり、そのため天井にはシミができていた。どうやらハクビシンが住みついているのは間違いないようだ。

これ以上被害を広げないため、さっそく捕獲の準備に取りかかる。

まずは天井裏にわなを運び、フンのあった近くにわなを仕掛ける。おびき寄せるための餌をまき、準備完了だ(市の許可を得てわなを設置)。

すると3日後、業者の元へ「天井裏から大きな音がした」との連絡が。天井裏のわなを確認してみると…。

動物駆除業者 神原正彦さん:
子どもやね、ハクビシンの。
取材班:
わなに入ってますね。
わなの中には子どものハクビシンの姿があった。小さくかわいらしい見た目だが…。


取材班:
子どもでも結構凶暴なんですね。
動物駆除業者 神原正彦さん:
結構凶暴ですよ。
少し指を近づけただけで、かみつこうと威嚇してきた。

取材班:
実際にかみつかれたら?
動物駆除業者 神原正彦さん:
大変ですよ、色んなウイルス持ってるんで。かまれたら。
もし、かまれたら感染症の危険も。ハクビシンが捕まり、依頼した女性は一安心の様子。

依頼者(80代女性):
(捕まる前は)本当ヒヤヒヤですよ。夜、ガタっていうと目が開いちゃうし、睡眠不足になると神経やられちゃうから。これで安心して寝られるよ、本当に。
カメラに近づき警戒も捕獲「大きくて怖い」
続いてやってきたのは、群馬県館林市の一軒家。依頼者は子供2人と3人で暮らす60代の女性。その内容は?

動物駆除業者 神原正彦さん:
どんな感じですか?
依頼者(60代女性):
今は静かなんですけど、波があって。騒がしいときは一昨日あたり、2階の屋根ですごく騒がしかったんですね。
こちらの家も屋根から騒音がするという。さっそく案内してもらった。

動物駆除業者 神原正彦さん:
うーん…ここシミがいっぱいあるから、これ雨漏りかフンか分からないけど。
さらに2階へ上がると。
動物駆除業者 神原正彦さん:
シミがすごいね、ここ。

天井裏を見てみると、大量のフンがあった。やはり動物が住みついているようだ。

捕獲用のわなを動物の通り道とみられる屋根の上や、フンのある天井裏、合わせて4カ所に設置する。

取材班もそれぞれに定点カメラを置き、動物が現れるのを待つ。

すると、1週間後の午前3時過ぎ。突然、画面の左端から何かが横切った。赤外線がきれて見えなくなったが、数秒後…。

現れたのは顔に特徴的な白いライン、ハクビシンだ。

餌の臭いを嗅ぎながら、わなの入り口へ。しかし、警戒しているのか中には入らない。その後、わなの上に登ったり、餌が取れる場所がないか探しているのか、周囲をぐるぐる…。

カメラも気になるのか、かなり顔を近づけてくる。警戒すること2分、ハクビシンがわなの中へ入った。


そして…餌をくわえた瞬間にわなが作動し、捕獲に成功した。

夜が明け、わなを回収するため屋根の上へ。近づくと、威嚇して暴れるハクビシン。

依頼者も初めて見るその姿に…。

依頼者(60代女性):
こんな大きいのがいたと思うと怖いですよね。
取材班:
ハクビシンに一言、言いたいことは?

依頼者(60代女性):
“不法侵入”で確保っていう感じですかね。家賃も払わないで。


今後、動物が入り込まないよう穴の空いた場所を銅板などで塞ぎ、大量のフンを清掃した後に、殺虫と消毒。

シミの酷かった天井を張り替え、全ての作業が完了した。
家の中でシミを見つけたり足音が聞こえたら、決して近づかずに、業者や自治体などに相談しよう。
(「イット!」4月13日放送)