「ドローンの街」を目指す広島・府中市。小中学校のドローンを使ったプログラミング教育や、民間主催のドローンレースが多く開催されている。一見、ドローンと縁がなさそうな意外な場所に全国レベルのレーサーが!
建立900年以上の寺からドローン出現
お笑いコンビ・ツートライブの2人は、ドローンで町おこしを目指す府中市を訪れた。案内されたのは、900年以上の歴史を持つ寺「釋迦院」。

ツートライブ・周平魂:
すごい由緒正しそうなお寺やけどな。あれ!お寺からピカピカ光るドローンが出てきたで!
ピンクの蛍光色に光るマイクロドローンが、2人を出迎えるように本堂から現れた。

ツートライブ・周平魂:
俺ら、ドローンに案内されてる?ちょっと待ってくれ
ドローンに導かれるように本堂へと進み、中をのぞくと…
ツートライブ・周平魂:
ちょっと見てください!衝撃映像です!
お寺の本堂にはサイバーパンクなお坊さんの姿が!

ドローンを操縦していたのは釋迦院の住職、藤井昭光さん。
ツートライブ・周平魂:
バチ当たりのところ、失礼します。頭につけているのは何ですか?
釋迦院・藤井昭光 住職:
これはFPVゴーグルといって、ドローンに付いているカメラの映像を見るものです

ツートライブ・たかのり:
ほんなら、さっきドローンに案内される僕らを見ていたんじゃないですか?
釋迦院・藤井昭光 住職:
そうです
相当なテクニシャンの藤井住職。操作技術はドローンレースの大会に出るほどの腕前だ。
釋迦院・藤井昭光 住職:
うちのお寺の中でもドローンレースを開催しました
ツートライブ・たかのり:
えー!お寺の中で?
ツートライブ・周平魂:
ほんまにバチ当たりじゃないですか
仏具の間をすり抜ける難関コース
釋迦院では2019年に、お寺の本堂を使って日本ドローンレース協会の公式戦を開催。

さらに、2023年2月に行われた「府中ドローンフェス」でも、本堂がレース会場に。19人のドローンレーサーが参戦し、激しい“寺レース”が繰り広げられた。

そのコースがすごい。普段は立ち入れない祭壇までドローンが入り込み、弘法大師の像やきらびやかな装飾の間をすり抜けていく。途中、輪になったゲートをくぐると、さらにレースが盛り上がる。

ドローンのカメラが見せる映像はまさにアクロバティック。まるで仏様にでもなった気分だ。
ツートライブ・周平魂:
1000年近い由緒正しいお寺が今はもう、ドローンのレース場ということですか?
釋迦院・藤井昭光 住職:
地域のお寺として街づくりに貢献できないかという思いでドローンレースを開催しました

ツートライブ・たかのり:
「ドローンの街」を目指して力を入れている府中市に、地元のお寺が協力した形ですね
ツートライブ・周平魂:
それは納得したうえでなんですけど、藤井住職が楽しみすぎてる

藤井住職の操作技術は全国クラスで、もちろん府中ドローンフェスのレースにも参加。しかし、結果はクラッシュして5位に終わった。
ツートライブ・周平魂:
何にぶつかったんですか?
釋迦院・藤井昭光 住職:
この天蓋(てんがい)という装飾の間をS字カーブみたいにスラロームするんですけど、ここで当たっちゃって

実際にドローンを手で動かし、天蓋にクラッシュした様子を再現してみせる藤井住職。
ツートライブ・周平魂:
いやいや、今、当ててますやん!
ツートライブ・たかのり:
ドローンが当たっても大丈夫なんですか?壊れたりしませんか?
釋迦院・藤井昭光 住職:
このマイクロドローンは約50gと軽量で、小さくて柔らかい。それに、プロペラの周りにガードがついているので当たっても大丈夫です

住職の超絶テクニックにムチャぶり
レースではクラッシュしてしまった藤井住職だが、改めて、その腕前を見せてもらった。レース会場になった本堂でドローンを飛ばす。

ツートライブ・たかのり:
うわー、うまーい。あの隙間、通った。すごい、すごい!
ツートライブ・周平魂:
住職の頭の上に着陸することってできるんですか?
すると、サービス精神満点の藤井住職はドローンを自分の頭の上にコツンと命中。

ツートライブ・たかのり:
お前、何させてんねん!やってくれたやん
自由自在にドローンを操る藤井住職。一見、簡単そうに思えるが、実はかなり難しい。
釋迦院・藤井昭光 住職:
慣れるまでは難しいと思います。このコースを操縦するには、本気で練習して1~2カ月ほど。ゴーグルの中の画面は平面ですが、実際は立体なのでその感覚をつかむのが難しい
そこで、ツートライブの2人もFPVゴーグルを装着。藤井住職の腕前を“ドローン目線”で体感すると…

ツートライブ・たかのり:
これ、距離感が全然わからへん。おー!近づいて来た

ゴーグルをつけた状態で大騒ぎする2人の間を、ドローンが勢いよく通り抜ける。
ツートライブ・周平魂:
うおー!今、風を感じた
初心者3人がドローン操作を体験
ツートライブにもドローン操作を体験してもらおうと、入門用マイクロドローンを用意。左のスティックで高さをコントロール、右のスティックで前後左右に移動する。

最初から藤井住職のようにはいかないが、操作方法は非常にシンプルだ。ツートライブもこれならできそうに思えたが…
ツートライブ・周平魂:
あー、やばいやばい
周平魂が操作するドローンは離陸直後に墜落。

ツートライブ・たかのり:
何してんの?全然あかんやん
ツートライブ・周平魂:
お前、やってみーや
交代して、たかのりが操作するが…
ツートライブ・たかのり:
あー、上がった、上がった。こんなん簡単やろって思って見てたけど、全然ラジコンと違う。めちゃくちゃムズイわ。もう一回、もう一回だけいい?悔しいな

次は、その様子を見ていた取材ディレクターが挑戦。バランス良く離陸できたと思ったが、やはり墜落した。
ディレクター:
難しいですね。もう一回いいですか?

小型すぎるがゆえに、操作が難しいマイクロドローン。いい大人をムキにさせるのも魅力の一つかもしれない。
「ドローンの街・府中」の一助に
操作の難しさを理解したところで、スタッフから周平魂へ小道具が手渡された。
ツートライブ・周平魂:
え?何ですか?
手渡されたのは、直径約30センチ、長さ50センチの紙の筒が付いたヘルメット。周平魂がかぶり、その筒に藤井住職がマイクロドローンを通す企画だ。

ツートライブ・周平魂:
真っ正面からドローンが飛んできて、頭の上の筒を抜けるということですか?怖いんちゃうん
藤井住職はゴーグルを装着し、操縦態勢へ。5メートルほど先には頭に筒をのせた周平魂が待ち構える。筒の出口に撮影用のカメラが設置されているため、ドローンが通る高さは実質20センチもない。藤井住職はドローンを通過させることができるのか?

ツートライブ・周平魂:
来い!お願いしますよ、住職!
周平魂の不安をよそに、ドローンは一瞬で筒を通り抜けた。
ツートライブ・たかのり:
行った行った!いや、これすごいわ

2回目はさらに高速!時速30キロほどのスピードで、筒の中のカメラに衝突することなく見事に通過!さすがは全国クラスの腕前だ。
チャレンジ成功で、ドヤ顔の周平魂。
ツートライブ・たかのり:
いや、お前は座ってただけで何もしてへんから
ツートライブ・周平魂:
ドローンが来るかなと思った時にはもう、スッと通ってる。すっごいわ。すばらしい
2人は藤井住職の超絶テクニックを目の当たりにし、拍手で絶賛した。
ツートライブ・周平魂:
すばらしいですけど、よく考えたらやっぱりおかしいですよね?なんでお寺に来てドローンの操作技術をほめてんのやろうと。この先、どうしていきたいんですか?

釋迦院・藤井昭光 住職:
「ドローンの街・府中」になるように私も一助になればと思っていますし、ドローンレースという競技自体をもっと広げていきたいと思っています

最後に、周平魂が取材中に撮影したスクープ写真を披露。そこに写っていたのは…
ツートライブ・周平魂:
藤井住職が、もう一つバチ当たりしてました。この写真、仏様とお盆のお供えのナス(精霊牛)をドローンに乗せて飛ばしてました

仏様と精霊牛が派手に光るドローンに乗って、宙を舞う光景。それはバチ当たりのような、ありがたいような…。全国的にドローンの活用が増える中、ドローンの街・府中市から奇想天外な広がりを見せている。
(テレビ新広島)